
J.B.
@hermit_psyche
2025年9月12日

日本の思想
丸山真男
読み終わった
思想史をただの観念の寄せ集めとしてではなく社会の力学そのものとして描き出している。
読み進めるうちに近代日本が自分自身をどう定義してきたかその根底がひっくり返される感覚があった。
徳川時代の世界観が近代にぶつかったとき主体がうまく形成されなかったという指摘は鋭い。
西洋との単純な遅れじゃなく政治制度や宗教、文化が絡み合った複雑な構造の結果だと丸山は見ている。
近代化を輸入と内的転換の弁証法として捉える視点は今読んでも新鮮だ。
文章は論理的で同時に自己批判的な距離感を保っている。
戦後民主主義を擁護しつつその神話化までも冷静に解体しようとする。
グローバルに民主主義が揺らぐ今彼の問いはまだ古びていない。
結局この本は過去を分析するだけじゃなく日本という枠組みを自分がどう作り、どう越えていくかを読む者に突きつけてくる。
歴史の中で主体性をどう確立するか、その難しさと可能性を同時に感じさせる一冊だった。


