
gato
@wonderword
2025年9月15日

すべての終わりの始まり
キャロル・エムシュウィラー,
Carol Emshwiller,
畔柳和代
かつて読んだ
また読んだ
Doireann Ni Ghriofaの"A Ghost in the Throat"(邦題『喉に棲むあるひとりの幽霊』)を読んでいるあいだじゅう、この本に収録されている短篇「石造りの円形図書館」のことが思いだされて仕方なかったので、久しぶりに読み返してみたら思った以上に共通項が多かった!
まず最初に「石造り〜」を思いだすきっかけになったのは、"A Ghost〜"の語り手(著者)がringfortと呼ばれる円形の遺跡をうろうろしていた場面で、これはもちろんタイトルからの連想だった。「石造り」の語り手は掘りだした石を片手にオブセッションに駆られて自動筆記をするんだけど、それも詩人である"A Ghost"の語り手と共通するし、何より驚いたのは「女の文章」というフレーズがでてくること!"This is a female text."は"A Ghost"の初めから終わりまでを貫く核になる一文なのだ。
それにしても、(おそらく)白人でありながら「インディアン以前の」文明の遺跡を探し求めて円形図書館を夢見、ピンク色の石を「女神」に見立て、「青い目をした」古代司書を幻視する「石造り〜」の語り手の"政治的正しくなさ"が徹底的に描かれていてすごい。最近は日本でもフェミニズムを取り込んだ幻想文学が人気あるけど、エムシュウィラーは硬派で厳しいその道の先駆者としてやっぱすごいなと改めて思った。





