

gato
@wonderword
英語勉強中
- 2025年7月10日読んでる143pまで。 ポッドキャストのパーソナリティも務めるサイエンスライターとのことで、リズミカルな歯切れのいい文章で読みやすい。そのぶん、いろんなことをわかりやすさ優先で単純化しちゃってるように感じるときがある。 コナン・ドイル型の典型的ヴィクトリアン紳士(アメリカ人だけど)デイヴィッド・スター・ジョーダンの伝記と、ジョーダンに科学者だった父の面影を見た著者のエッセイが代わりばんこに語られる。ジョーダン自体は本当にステレオタイプ的な19〜20世紀初頭の強者男性!って感じで面白いのだが、彼の不屈の精神から学びを得て挫折から立ち直ろうと著者がジョーダンの著作を読み漁る、という描写が全くピンと来なくてフーンと思いながら読んでいたら、ジョーダンと敵対したスタンフォード大創設者ジェーン・スタンフォードの毒殺疑惑あたりから俄然面白くなってきた。 今はジョーダンが最も早い段階でアメリカに優生学を持ち込み、"劣等人種"の根絶を熱烈に提唱したレイシストだったことを知り、著者がショックを受けているところ。でもコイツ、そもそも標本用の魚獲るのに平気で爆弾と毒使うようなヤツなんだよ? こういうふうにわかりやすい構成にするために自分のナラティヴを操作しているんじゃないかと思ってしまう部分が気になる。
- 2025年7月5日Books and Islands in Ojibwe CountryLouise Erdrichかつて読んだ2月に読了した本。オジブウェ族にルーツを持つ著者が、生後間もない娘を連れて先祖の故郷である湖の島々をボートで旅した日々を綴ったエッセイ。口承文化を強調して語られることが多いネイティヴ文化だが、ロックペインティングに書物との親和性を見いだしていくところが新鮮だった。四方の壁が本棚で囲われた「ジョセフ・コーネルの箱のなかにいるかのような」湖畔のキャビン、いつか行ってみたいなぁ。
- 2025年7月5日The Book-MakersAdam Smythかつて読んだ5月に読了した本。ツイストの効いたイングランド印刷史のノンフィクション。既存の歴史観にカウンターを喰らわせるぞ!という気概が溢れていて楽しい一冊だった。
- 2025年7月5日Martyr!Kaveh Akbar買ったこちらはテヘラン出身の詩人による小説デビュー作で、昨年の全米図書賞フィクション部門ファイナリストだそうな。GoodReadsのレビューを見てると混乱した語りに魅了された人と当惑した人とが真っ二つに分かれてて、これは好きかもと思った。 結局全米図書賞を受賞したPercival Everettの『James』も面白そうなんだけど、下敷きになってるハックルベリー・フィンを最後まで読んだことがないというネックがある。最新の挑戦は柴田訳。ジムと一回離れ離れになるところ?まで読んだ?ような?気がする???
- 2025年7月4日Love Letters: Vita and VirginiaVirginia Woolf,Vita Sackville-West買った好きな読書YouTuberがこぞってオススメしていたヴァージニア・ウルフとヴィタ・サックヴィル・ウェストの書簡集。ヴィタは『オーランドー』のモデルになった人なので、『オーランドー』ファンとしては見逃せなかった。
- 2025年7月4日Memories of Distant MountainsOrhan Pamuk買ったオルハン・パムクの絵日記を書籍化した本。フルカラーで、元のノートのノドに合わせて綴じられている。英訳文のレイアウトも元のページに対応していて、本当のノートをめくるように眺めることができる。
- 2025年7月4日The SentenceLouise Erdrich読み終わった「憎むべき属性を持った愛すべき人たち」との付き合い方を、苦しみもがきながら模索した日々の物語だった。私は自分自身に大きな隠し事をして表面上はヘラヘラ生きてきた人が、そのわだかまりと向き合う瞬間の物語にグッときてしまうので、トーキーのことも最後に大好きになってしまった。 ネイティヴの人たちは自身のルーツに繋がる習慣や物語をとても大事にしている。それはアイデンティティを保証するものがあまりにも儚いことの裏返しでもある。「お前は"本物のインディアン"か?」と聞いてくる側が、土地を奪い彼らの痕跡を消してきたからだ。 そしてフローラも、形は違えどずっとアイデンティティの揺らぎのなかにいて、祖先や土地と繋がる方法を今も保持しているネイティヴの文化に憧れたのだろう。その属性と系譜にこだわり続けたせいで、フローラはたった一文の真実に殺されてしまった。でも、先祖とは関係なくフローラ自身が成し遂げたものがある。それはカテリとトーキーの人生に痕跡を残したのだ。その痕に気づくこと、その痕を直視することへのおそれが「幽霊」だった。
- 2025年7月3日A Ghost in the Throat (English Edition)NíGhríofa,Doireann買ったこれも邦訳(吉田育未訳『喉に棲むあるひとりの幽霊』作品社)が気になっていたので、原書に挑戦してみることにした。アイルランドの詩人の英文は一筋縄じゃいかなそうだけど。
- 2025年7月3日
- 2025年6月29日The SentenceLouise Erdrichまだ読んでる255pまで。 物語はついに2020年5月。白人警官によるジョージ・フロイドさん殺害事件直後のミネアポリスの様子が生々しく活写される。 獄中で10年過ごしたトーキーは警察署が襲われる映像を見て、思わずキッチンで転がりまわってしまうほどの喜びを感じる。警官のポルックスは手で顔を覆って項垂れる。抗議デモに参加しているヘッタは警察側の対応を巡ってポルックスと対立する。全員がネイティヴ・アメリカンの出身だが意見はバラバラ。緊張状態が続く。 チャラついたギャルからシングルマザーになって意識が変わり、新しい友人に感化されて抗議デモに参加するようになったヘッタみたいな冷笑的な揶揄の対象にもなりそうなキャラが、トーキーの目を通して共感的に描かれているところがいいなぁと思う。新生児を置いて抗議デモに参加しているのはヒヤヒヤするけど。
- 2025年6月27日The NotebookRoland Allen読み終わったなんとか今月中に読み終わった……。 ノート/手帳/日記などが西洋史のクリエイティヴにもたらした影響を探るというテーマは面白いのだが、現存の人たちに取材した後半はなんとなくプロモーションっぽい。 内容的にどうしても先月読み終えたAdam Smythの『The Book-Makers』と比較せずにいられない。『The Book-Makers』のほうはイングランドの印刷史を取り扱うと断った上で、西洋中心主義や男性中心主義、移民技術者とアマチュアの軽視など従来の史観に対する批判的な視点からのツッコミが入って気持ちよかった。 この『The Notebook』には、そうした問いかけはほとんどなかった。フェミニズム文学史における日記やノートの重要性にはたった一段落触れただけ。これは正直がっかり。 『The Book-Makers』の著者は大学の研究者で、『The Notebook』のほうは元書籍メーカーの営業担当だというライターなので、先行研究に対する造詣の差がモロにでた感じ。ビジネスマンならではの商業的な視点が散りばめられているのは、普段そういう本を読まないので新鮮で面白いところもあった。
- 2025年6月24日アレフJ・L・ボルヘス,鼓直かつて読んだオルハン・パムクが「アベンハカン・エル・ボハリー、おのが迷宮に死す。」の朗読と読解をしているポッドキャスト(The New Yorker: Fictionの2019年1月2日配信回)を聞いた。
- 2025年6月21日詐欺師の楽園ヴォルフガング・ヒルデスハイマー,小島衛かつて読んだ思いだした◆映画『グランド・ブダペスト・ホテル』を見て思いだした本 その② 架空の東欧の国でくりひろげられる、架空の〈バロック絵画の傑作〉をめぐる冒険譚、という共通点で思いだした。自作の贋作とモナリザを掛け替えて本物を屋敷に飾っている天才贋作者おじさんがめちゃくちゃするコミックノベルだが、初めから終わりまで国家や芸術という概念に「〈本物〉って何?」とグサグサ問いかける鋭さがあって好きだった。
- 2025年6月21日モスクワの伯爵エイモア・トールズ,宇佐川晶子かつて読んだ思いだした◆映画『グランド・ブダペスト・ホテル』を見て思いだした本 その① 映画は面白かったんだけど、結局はゼロみたいな出自の人間がグランド・ブダペスト・ホテルに迎え入れられるにはベルボーイにでもなって成り上がるしかない、客として迎え入れられることはない、というところにあえて目を瞑って、高級ホテルを古い時代の善なるものの象徴として描くのはブルジョワ趣味がすぎるんじゃないの?と庶民としては首を捻ってしまう。そしてこの『モスクワの伯爵』を読んだときもだいたい同じ弱点が気になったのだった。 映画はグスタヴも貧民出身らしいことがほのめかされていたり、「ブロンド云々」のくだりでホテルの客層の浅薄さが表されていたりしたので、ホテルは完全な理想郷じゃないし懐古趣味だけで作られた作品でもないのはわかる。そしてこの小説のロストフは元貴族で、自分の財産とホテルがまさに接収されていく渦中におり、成り上がりのグスタヴの悲哀とはまた違う余韻を描いている。
- 2025年6月18日山脇道子バウハウス回想集山脇道子,川畑直道気になる
- 2025年6月18日盲目の梟サーデク・ヘダーヤト,中村公則気になる
- 2025年6月18日The SentenceLouise Erdrichまだ読んでる190pまで。ついに2020年2月がやってきて3月には本屋も休業を迫られるが、今のところトーキーにとっては幽霊のほうが大きい悩み。 コロナ禍中の本屋の日誌みたいな感じで、例えば橋本倫史の『東京の古本屋』と並べられるようなフィクションなのかなと最初は思っていたのだが、トーキーには幽霊とかシングルマザーになるかもしれない義理の姪とか自分の出生の謎とか、他にも考えることがてんこ盛り。フローラがトーキーの実の母、という展開だったらどうしよう。 トーキーがDissatisfactionとあだ名をつけたおじいちゃん客がお気に入り。この人が来るとトーキーが立板に水でおすすめ本をだしてくるので、読みたい本のリストが増えてしかたない。
- 2025年6月16日優雅な生活が最高の復讐であるカルヴィン・トムキンズ,青山南かつて読んだ見かけた今ネトフリ版『リプリー』をちょこちょこ見てるんだけど、この本のジェラルド・マーフィとスコット・フィッツジェラルドの関係ってディッキーとトムみたいだなぁ。スコットがマーフィに収入を尋ねて「不労所得で暮らしてる」という答えに目が点になるところの切なさ、よく憶えている。スコットのネチネチ嫉妬レターへの返信から窺えるサラとゼルダの関係性も印象深かった。ゼルダにも味方がいたんだなぁと思えた。 あとピカソのギラついた水着姿をぜひ見てほしい。ソフィスティケートされたアメリカ人コミュニティにはない脂の乗り方でやばくてすごい。
- 2025年6月16日The NotebookRoland Allenまだ読んでるエラスムスがcommon-place book(備忘録)を推奨したのをきっかけに、仕事や家庭とは直接関係ない個人的なノート付けの習慣がヨーロッパ中にブワッと広がる。劇場に持っていって台詞をメモったりしていたらしく、観劇中にノート取る人こんな昔からいるんだと思った。確かに記録媒体が他にないんだから書き残したい欲は今よりずっと切実だよな。 そして1700年代にオランダほかヨーロッパ北部で流行ったというalbum amicorum(album of friends)がプロフ帳すぎる!友だちとか先生とかとにかく知人に一筆書いてもらったのを一つのバインダーに集めたもので、お花の枠飾りがついたそれ用のルーズリーフが売られてたり、一筆頼まれた側も他のページより素敵にしようと張り切って絵を描いたり詩を書いたりしたらしい。プロフ帳じゃん!
- 2025年6月13日The SentenceLouise Erdrich読んでるこれめっちゃ面白いかも〜! 今まだ80pくらいのさわりのところだけど、ジャネット・ウィンターソンの『Night Side of the River』(幽霊譚)とか、レベッカ・ソルニットの『A Field Guide to Getting Lost』(捕虜の物語・先住民)とか、そしてもちろん同著者の『Books and Islands』とか、今年読んだ他の本とつながる要素が散りばめられていてシナプスがうお〜っ!と動きだす。この、"正しい時に正しい本を読んでいる"という感覚(妄想)、本を読んでて一番気持ちいい瞬間のひとつかも。 本屋を舞台にしたポップでちょっと奇妙な日常もの、は正直食傷気味なほどあふれてるけど、そこにアメリカ先住民の視点が入ることで緊張感が生まれる。客とのやりとりとか、"理解ってる"顔で親しげに話しかけてくるマジョリティへの思いとかを読んでいると、自分の行いを省みて顔を覆いたくなったりもする。ネイティヴ・アメリカンの本を読んでいるとアイヌのこともっと勉強しなきゃなと思う。全然できてないけど。
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