
Hinako
@Lady_Hinako
2025年9月13日

グレイスレス
鈴木涼美
読み終わった
鈴木涼美さんのグレイスレスを読んだ。帯にもあるけど、「性と生」、他にも「性と聖」「生と死」などが、いろんなメタファーで散りばめられている本だと思った。聖子と言うAV女優にメイクをする主人公の聖月。AV撮影現場と森の中のお屋敷を電車で行き来して乗り過ごす描写。十字架が取り外された跡の境界。AVの現場(男性中心の世界)と女系の家系。家の中でみるムカデと庭で見るムカデ。
特に何か大事件が起きるとかではなく、出来事を繊細な描写で淡々と書いていくので、抽象が苦手な人には何の話がわからなくなってつまらないと感じる可能性もあるかも。ただ、この淡々と曖昧に書いているのもメタファーだろうと思うし、ポルノ現場を全くエロくなく書いて、森の中にある煉瓦のお家と全く違うのに地続きみたいに書いてるのもそれかな。
他にもメタファーだらけだと思いながら読んだ。
グレイスの意味は「優雅さ」「恩寵」「慈悲」
グレイスレスの意味は、「気品に欠ける」「不器用な」「野暮な」。
あらゆる事は「鏡」で「地続き」で「グレー」で曖昧なんだよ。
って事が言いたいのかな?と思いましたけど
純文学って感じなので、はっきりした結論は出ないけど。