
noko
@nokonoko
2025年9月16日

母の待つ里
浅田次郎
買った
読み終わった
心に残る一節
「はァ。古賀先生は立派なお医者様にてごあんすなす。先生はあらがだ偉そにすてるもんだがね」
母の口癖を思い出した。「良いドクターは偉そうに見えない」。つまり、根拠のないプライドを抱くほど医者は暇な仕事ではない、という意味だと思う。
だからこそ、母と言う人のその感想は、古賀夏生の胸に響いた。母に褒められたような気がしたのだった。
おらほもこのごろになって、お詣りするようになったんだわ。あの倅にもこの娘にも、ひもじい思いはさせたくねがらね。
おめえもな、ナツオ。
もうは、けっぱらねで良えがら、たんと飯さ食て、のへらほんと生きてけろ。
おめえはほんによぐやった。誰がほめてくれなぐても、母は力いっぺえほめてやる。そんで良べ、ナツオ。
どんどはれ。あんやァ、寝物語さ聞いで泣ぐばかこが、どこさおるでぁ。

