ワット
@watt
2025年9月3日

辻征夫詩集
辻征夫
読み終わった
「これで今夜は/タバコなしですごさなければならない/タバコの夢を見るかな/などと思いながら/同時に/いいようのない苦しみで/別れた/恋人のことを考えていた//タバコと/パチンコ屋と/恋と//卑俗と/かぎりなく/純なものと//となりあい/まざりあって/ふきあげる高貴な現実//それが/ぼくのうたでありたい/ぼくの詩でありたい/などと考えていた」
このあいだ出た会合で、折々のうた風に、好きな詩を暗唱し紹介せよと進行役に言われた。しかし、暗唱できなかった。暗唱がどういうことなのか分からずに混乱したのだ。「かっぱらっぱかっぱらった/とってちってた」みたいなことを言えばいいと思ったけど、辻征夫にそんな詩はない。落ち葉のことを、落ち葉といっているような詩ばかりだ。そして、それが世界の本質の一つだと伝えるような詩だ。悔しく、のろのろ歩いて帰ってきた。
