CandidE "人はなぜ戦争をするのか" 2025年9月6日

CandidE
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@araxia
2025年9月6日
人はなぜ戦争をするのか
人はなぜ戦争をするのか
ジークムント・フロイト,
中山元
本書は、同文庫『幻想の未来/文化への不満』と対をなす一冊。冒頭のアインシュタインとの往復書簡「人はなぜ戦争をするのか」(1932)を起点に、人はなぜ戦争をするのか――それは死への欲動(タナトス)である、というフロイト後期の欲動理論がどのように形成されたかをなぞる構成となっている。 時系列をざっくり辿ると―― • 1915「戦争と死に関する時評」:戦争で剥き出しになる原始的衝動。 • 1917「喪とメランコリー」:喪失をきっかけに自己破壊へ向かう力学。 • 1932「人はなぜ戦争をするのか」:その根源に死の欲動を措定。 • 1933「心的な人格の解明」「不安と欲動の生」:エス/自我/超自我の構造モデルに組み込まれていく。 第一次大戦という巨大なトラウマを前に、人間の合理性や善意に懐疑的にならざるを得なかったフロイトの痛切なリアリズム。そして超自我、すなわち死の欲動が内面化され、自己処罰へ向かう装置と化す心理の動態。この審級の発見には、ただただ畏敬と戦慄を覚える。凄すぎる。 現代の精神分析では、死の欲動や超自我は実証主義に基づいて細分化・最適化され、臨床で扱いやすい形へと改変されてきた。一方で、オリジナルの持つ多様性、とりわけグロテスクな要素は、なお今日も残響し、フロイトが追究した概念の深淵は失われていない。この両義性を、我々はどう見るべきか。
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