
白木蓮
@a
2025年9月19日

終わらぬ歴史 ホロコースト
ダン・ストーン,
大山晶,
武井彩佳
読み終わった
ストーンが強調する最後の点はーこれが本書を貫くストーンの問題意識であろうがーホロコーストは強制収容所の解放で終わったわけではないということにある。彼はホロコーストを「動態」としてとらえる。拡張し、強弱を繰り返しながら中心を動かして移動し、絶滅収容所において一つの頂点に達する。その後「死の行進」でドイツ領内へと収縮し、さらにトラウマを抱えた生存者がヨーロッパから移住することで世界に移植され、イスラエル=パレスチナ紛争の中で通奏低音のように流れ続け、そして世界的なホロコーストの記憶の登場により国際的な規範となるという、一九四五年で終わらない歴史として提示する。その意味では一九四五年一月二七日の「アウシュヴィッツの解放」、五月八日の「ドイツの敗北」、さらには「戦後」という区分自体が、再考を迫られるだろう。(p312)

