
ユメ
@yumeticmode
2025年8月28日

読み終わった
感想
『イエスかノーか半分か』シリーズの購入特典ペーパーや、一穂さん自身による同人誌などをまとめた総集編。刊行から遅れてシリーズにはまった身としては、こうして読める形にしてくれていることがとても嬉しく、ありがたい。
一穂さんは日常のワンシーンを切り取るのが本当に巧みで、登場人物が生きているという手触りがある。ページを捲るたび、そこに潮と計がいる、という圧倒的な幸福感。どの短編も本当に好きなのだが、「オールユーニード」「ねないこだれだ」「はつなつの星座」「デイドリームビリーバー」がとりわけ刺さった。
「オールユーニード」は潮が計の実家を訪問するお話。計の両親の人柄が私もすっかり好きになったし、ラスト二ページで押し寄せる幸福の重みに目頭が熱くなった。
「ねないこだれだ」は潮が計のアクセント辞典に絵を描いたときのお話。潮があのときこんな想いでいたのか、と知れてぐっときた。
「はつなつの星座」は二人が新しいおうちに引っ越す際のお話。潮にすべてを委ねきっている計と、そんな計を愛おしく思う潮、という二人の関係性が好きだ。夜空を見上げてものづくりを想う潮の、繊細な感情表現が胸に迫った。
「デイドリームビリーバー」は潮が宇宙人のPVの続きを作るお話。日本語版「デイドリームビリーバー」の歌詞を改めて調べ、泣きそうになった。きっとこの先私は、この曲を耳にするたびに『OFF AIR』のことを思い出して胸を締めつけられるのだろう。それだけ影響を受ける物語に出会えたことを、幸運に思う。

