一色 "死体の犯罪心理学 (アスキー..." 2025年9月27日

一色
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@honyonu_isshiki
2025年9月27日
死体の犯罪心理学 (アスキー新書)
まず、犯罪心理学について解説する本ではない。本作の筆者は法医学者であり経験豊かな監察医であるが、犯罪心理学に関しては恐らくあまり見識がない。 その上で、凄惨な事件について被害者の状況から死因に関して法医学的観点で解説し、犯人が逮捕されている事件については裁判の結果までを紹介している。その裁判で、被告人の精神鑑定が必要になる場面が多くある。もしくはめぼしい容疑者がいない場合、犯人像について心理学の専門家が問われる場面もある。 本書では、そういった精神科医や心理学の専門家が各事件の犯人についてどのような診断・評価をしているのかを引用しながら紹介するものである。 内容については一部筆者の推理も交えて紹介されており、その推理の正誤については度外視されているため鵜呑みにしないことが重要である。 紹介される事件の多くは2009年前後に起きたものが多く、一部の事件は未だ解決に至っていないことも留意したい。 また、筆者が現時点で90代半ばとご高齢なこともあり、昨今のジェンダーロールに関する考え方に慣れている方には一部不快に感じる可能性のある筆者の自論が展開されている部分もある。 現代よりもずっと性役割が明確だった時代を生き抜いてきた筆者の物言いにムッとすることはあるかもしれないが、筆者は一貫して犯罪に対して許容しない態度をとっており、あくまで筆者の個人的な感覚・感想であるということは理解した上で読むべきだと思う。
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