Biko
@biko_250512
2025年10月1日

はだかんぼうたち(1)
江國香織
読み終わった
なんて愛おしい人たち。どこにでもいそうな人々のいつでも起こりそうな日常の些細な出来事と心のさざめき。とても切なくて、泣きたくなったり、笑えたりする。その表現が実に心地いいのだ。
「自転車にまたがる。昔から、"女の子乗り"より男の子乗り"の方が好きなのだった。」
「オートロックの扉を抜けておもてにでると、風がひんやりしていた。ひさしぶりだ、と鯖崎は思う。こういう空気はすごくひさしぶりだ。」
何気ない表現なのに、だからこそよけいに気持ちが静かに深く刺さってくる。
2〜3ページごとに、話の主役が次々に変わるテンポがまた良い。それぞれの人にまつわる出来事が同時進行で起きて、影響しあって、物語が転がっていく感じ。リアルだ。
かつていいと思った本を久しぶりに読むのはとても楽しかった。少し感じ方が変わるのも良かった。

