
ユメ
@yumeticmode
2025年9月15日

恋敵と虹彩
一穂ミチ
読み終わった
感想
なっちゃんが、自分の元で学ぶことになった小太郎を叱ったり諭したりする言葉の真っ直ぐさが胸に響く。「放送を見くびるやつが放送局で働くな!」という力強い台詞や、「皆川と関係なく、この仕事を好きになってくれ——すくなくとも、好きになろうとしてくれ」という誠実な約束、それらがきちんと小太郎の糧になっていると分かる描写がとてもよかった。一穂ミチさんの作品は、人と人との関わりによる心の動きが繊細に描かれているところも好きだ。
「秘密と虹彩」は、先に『OFF AIR3』に収録されている「c/w」で潮と計視点を読んでいたので、今度は竜起となっちゃん視点から物語を読むことができて、二重に楽しめた。潮と竜起が良好な関係を築いているところが、私はとても好き。かつて計に手を出そうとした竜起に対し、「でも、俺の心の面積は別に関係なくて、お前と交流してんのは、お前が面白くていいやつだからだよ。そんだけ」とさらっと言える潮は本当に素敵な人だし、彼にそう言わせる竜起もすごい。なっちゃんに計の仕事ぶりを聞いた潮が、心をこめて「ありがとうな」と伝えるシーンもぐっときた。

