ゆうすけ | オガノート "最初の質問" 2025年10月3日

最初の質問
最初の質問
いせひでこ,
長田弘
一番のお気に入りの絵本故に、何冊も人にあげてしまい、手元にあるのは三冊目。 思い出したときにふと読み直しては、心の中で答えをつぶやきます。 「今日、あなたは空を見上げましたか。 空は遠かったですか、近かったですか。」 この優しい質問から始まり、身近な表現を混ぜつつ、人生にとって本当に大事な質問だけが繰り返されていきます。 「何歳のときのじぶんが好きですか。 上手に歳をとることができるとおもいますか。」 今が好きで、上手に歳をとりたいと願っています。 「問いと答えと、 いまあなたにとって必要なのはどっちですか。」 まだまだ「問い」が欲しい。答えを知ってしまうと、ワクワクがなくなってしまうから―― また、考えさせられる質問もあります。 「あなたにとって 『わたしたち』というのは、誰ですか。」 幸い、僕はこの質問に答えられる、いくつかのコミュニティを持てています。 一方で、世の中には「わたしたち」が思い浮かばない人もいるであろうことを想像し、なんとも言えない気持ちにもなります。 いせひでこさんの水彩の挿絵が見事に詩に重なっていて、質問の本質がより浮かび上がってくるようです。 全編通して淡いトーンの玉虫色の質問が投げかけられるのですが、最後だけ白黒で、筆者の警告のような質問で終わります。 「時代は言葉をないがしろにしている―― あなたは言葉を信じていますか。」 SNS等でちぎられた言葉が乱暴に投げつけられている昨今、こんなに時代を突き刺す質問は無いんじゃないでしょうか。 ちょっと質問の内容が難しいところもあるので、渡せる年齢としては小学校以上でしょうか。 年齢によって、そのときどきの気持ちによって、答えは変わってくるでしょう。万人におすすめしたい一冊です。 ちなみに、この本をあげた友人のお子さんは、これで読書感想文を書いてくれたそう。それ自体がどんな感想よりも嬉しかったです。
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