
🦈
@Lore_Link
2025年10月6日

死に急ぐ鯨たち・もぐら日記
安部公房
読み終わった
p.133
考えてみると僕の小説の主人公はほとんど全員名前を持っていない。個性はあっても無名であり、世間から認知を拒まれている。こういう人物が僕にとっては現代という世界を透視するための窓になるのです。
p.169
小説の発想は原則として、スーパーに買い物に行って帰ってくるまでの間に使わない言葉は使わないように心掛けているんだ。夢の言葉ってそんな感じだろ。
p.237
人間が昆虫になることは事実上ありえないが、カフカの『変身』のなかでは事実になるでしょう。『変身』を単なる寓意として読んでも真に理解したことにはならない。あの作品のなかで、カフカは事実として人間が昆虫に変身する世界を創造したわけです。その作品によってはじめて成立可能な世界の創造、それが文学の存在理由だと思う。




