
nornacum
@nornacum
2025年10月6日

哲学の起源
柄谷行人
読み終わった
哲学史
ギリシア哲学
まずこれは哲学史の体裁をとってはいるけれど、哲学史ではないです。断言してもいい。ほとんど、というか、まったく古典学や文献学の成果を拾っていない。だいたい、柄谷せんせいはそんなつもり、はなからない。
じゃあなにを目的に書いた本かというと、柄谷行人が理論化した交換様式論のリアルな歴史への適用です。3つの交換様式のトリニティを弁証法的な枠組みに組み込んで(恣意的に)歴史を考え、イソノミア(デモクラティアと似ているようでそうではない、具体性がいまいち欠けた、ほぼほぼ想像によって見出される、「無支配」と訳された共同体)を、その弁証法的止揚としてぼんやり(可能性だけを)映しだす、という、まあそんな感じの本です。
面白いか面白くないかと問われれば、面白い本だと思う。騙されてみたい誘惑に駆られなくもない。
でも、もうわたしもそれなりに年齢を重ねて、こういう本にはアジテーションの要素ばかりが目につくようになって、眉に唾つけて読んでしまう。いや、まあ面白いですけれども。

