"月と六ペンス" 2025年10月9日

燕
@Gaming_swallow
2025年10月9日
月と六ペンス
月と六ペンス
サマセット・モーム,
William Somerset Maugham,
金原瑞人
ナツイチの開催期間中、しおりが欲しかったので買ったうちの1冊。モーム自体は読んだことがなく、名前だけどこかで見て気になっていたので。 (ナツイチのしおりは、やたら大きくて驚いたまま使えずにいる。この本にはスピンがついていたし……) たまにある軽口のようなやりとりも含めて、かなり読みやすかった。内容としてはちょいちょい現代としてはきつめのこと(特に女性に対して)も多くあったが。 題の「月と六ペンス」はかけらも内容に出て来なかったので、そこは少し肩透かしをくらった感はあるが、それはまあどこかで出るだろうと思っていたこちらの考えでしかない。 ただあるだけでやたら言われる月と世俗的な金などとの対比ってことなのかもしれないけど。 実際、どこでも(特に最後の方)芸術はほとんど美しさとかよりも稼げるかで見ている人が多数だったし。現実でも多分そう。私は芸術と呼ばれるものに興味がないけど、絵が幾らで競り落とされたとか聞いたらスゲーみたいな軽い感嘆は出るだろうから。 それもあって、絵に関する描写はほとんど流してしまった。絵を見て、どんな形にしろ大きく感情をかきたてられる、妙な気持ちになる、というのは羨ましい気もする。 私には今のところ、そういった経験がない。これは小説でも言えるけど。そのような経験があったら、もうちょっと感想が出たかもしれない。 チャールズ・ストリックランドに関してあれこれ言うのは、解釈にしろなんにしろ違うなと思ったのでやめておく。「わたし」も含めて、彼を理解できている人なんていないし、そも私としては(やや痛々しい気もするが)人が人を理解できることはないと思っているので。 ただ、彼の物言いは創作物に溢れる今なら好きな人も多そうな気がする。「登場人物」としてはまあまあ好き。周囲を盛大に振り回したりはしたが、彼なりに満足して死ねたのであればよかったんじゃなかろうか。これは後半に出てきた医師にも同じことが言える。結局、本人がそれでいいならいい。 ストルーヴェが(愚かではあるが)いい奴だったので、彼がブランチに捨てられたあたりのところは正直どうしてそこまでするのかわからなかったが、それより前の夫人との対比でもあるのかな。 読み返すかどうかはわからないが、しばらく手元には置いておくつもり。 小説は読みやすいし、持ち歩きやすい文庫であれば尚更だが、人文系の本も数が多いのでそろそろ読まなきゃならない。月末にはブックフェスティバルにも行くし。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved