
ま
@re_m48
2025年10月10日

牛家 (角川ホラー文庫)
岩城裕明
読み終わった
舞台がゴミ屋敷のホラーというだけで最悪なんだけど、片付けたゴミが翌日には元に戻ってたり、屋敷からは簡単に出れないという厭すぎる環境。主人公の妻が流産したのをきっかけにかなり気が狂っていてこっちも別のキツさがある。この屋敷に住んでいた牛のような男の存在も不気味。ドアを開ける度に部屋の様子が変わったり、家自体が変わったりするのはSFっぽくて良い。
もう一つの短編「瓶人」は、人がひとり入れるサイズの瓶に死体を入れると生き返るという話で、亡くなった主人公の父親が瓶人になり共に生活している。複雑な関係性の父と息子、そして出て行った母親。クライマックスは地獄絵図だけど、ある種の歪んだ家族愛の物語でもあるのかも。まともそうな主人公もしっかりこの家の子であるのが分かる最後の一文がホラーの締めとして素晴らしい。
どちらも違った種類のホラーで楽しめた。あと何気に作者の作品は人物同士の会話がじわじわ面白くて好き。
