シンジ "囚われの山" 2025年10月11日

シンジ
シンジ
@shinji
2025年10月11日
囚われの山
1902年に起きた、いわゆる『八甲田山雪中行軍遭難事件』をテーマにした歴史ミステリー。 『八甲田山雪中行軍遭難事件』といえば、映画にもなった新田次郎原作の『八甲田山死の彷徨』が有名である。『〜死の彷徨』はもう何度も読み返したくらいだし、1977年に大ヒットした映画も、何度も観ている。映画では三國連太郎が演じた山田少佐が、青森歩兵第五連隊に随行して、北大路欣也演じる神田大尉の指揮権を奪って隊を混乱に陥れたように描かれていた。原作小説も然り。自分もずっとそのイメージで捉えていた。 ところがこの『囚われの山』では、また違う視点で描かれている。歴史って視点を変えてみるとこんなにもガラッとイメージが変わるんだなと、改めて感じた。本作は歴史ミステリーとあるが、過去パートは筆者の緻密な取材の賜物で、とても読み応えがある。この事件に対する認識が偏っていたなと感じた。 真実は歴史の闇の中(それは時間の隔たりであると同時に、軍隊という特異な世界との隔たりでもある)で、到底知り得るものではないが、二つ(いや三つか)の作品を比べてみることで新たな視点を持ち得たことが良かった。 いつか八甲田山の八甲田山雪中行軍遭難資料館にも行ってみたいものである。…冬じゃなく夏に笑
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved