
つたゐ
@tutai_k
2025年10月16日
氷河が融けゆく国・アイスランドの物語
アンドリ・スナイル・マグナソン,
朱位昌併
『氷河が融けゆく国・アイスランドの物語』アンドリ・スナイル・マグナソン 朱位昌併 青土社
読み終えた。アイスランドの作家の自伝のような、エッセイのような随想録。氷河が融けていっている(それはつまり気候変動の影響で)国で、祖父母や親類、それらの人たちと関わってきたひとたち(驚くような名前がいくつも出てくる)の記憶や、神話や信仰について語りながら、いったい地球の気温が上昇するってどんなことなの?ということが語られている。
数値やデータ、という決定的だが提示されると漠然としているものではなく、物語の形、随想の形を取られているからこそその危機の切迫が深く突き刺さる。
私がすごくいいなと思ったのは、これらの問題を語る時に信仰や宗教が置いてけぼりにされていないこと、それらをまなざし、学び、抱えながら、「未来」を担う我々に「何をするか」を問うところ。
信仰や宗教はときに科学と対極にあるように定義されてしまうけれど、この本では融合し、ともに「気候危機」を見つめる「目」になる。
気候危機とかよくわかんないなって人も、神話とか、氷河とか、おじいちゃんおばあちゃんのお話だと思って読んでみてほしい。すごくよかった。




