
DN/HP
@DN_HP
2025年10月19日

サンセット・パーク
ポール・オースター
かつて読んだ
archive
『サンセット・パーク』も文庫になるのか。手元にないから手放してしまった、と思い込んでいたけれど、そもそも図書館で借りて読んだのだった。三年前の夏の話。文庫が出たら読み直そうと思う。
「ニューヨークを出たくない。この巨大な、住みようのない街にできる限り住みつづけたい。何年もここで過ごしてきた今、ここ以外のところで暮らすなんて狂気にしか思えない。」
図書館で借りたブルックリンが舞台の小説って夏っぽいですよね。などと思いながら読みはじめたのは、何回か話題にしたこともあったけれど、未読だったジャケットも素敵なポール•オースターの一冊。
大好きな「ブルックリン•フォリーズ」と同じように、幾つもの解決しない物語、人生、それぞれが想い、想われる、その連なりで描かれる小説にしか書けない街と世界。文章は乾いているしユーモアみたいなものも漂っている気がして軽やかに読み進められるけれど、そこには重みもたしかにあって。下すことの出来ない積み重なっていく過去や、ままならない人生に覆いかぶさる世界の重み。それは“今”や”その瞬間“の選択にも確実に影響を与える、良くも悪くも。だから、この小説は暗いんじゃなくて、重いんじゃないかな…。
みたいな話は今度あの街でしたいですね。と一旦栞を挟んで考えていたのはその街とは全然別の方向に向かっていく平日の各駅停車で、高架線を走る窓の外は快晴の空、乗客もまばらな車内はちょっと冷房が効き過ぎているくらいで、あ、このシュチュエーションは完全に夏の読書だな、と思ったりした。








