
saeko
@saekyh
2025年10月19日

セミコロン
セシリア・ワトソン,
倉林秀男,
萩澤大輝
「セミコロンの歴史」というニッチなテーマに惹かれ、オンラインのレビューでも評価が高かったので期待して買ってみたが、訳文のクセが気になってしまい読むのに少し苦戦した。
全体的に学術書的なだ・である調の文体でありながら、ところどころに妙に若者風の表現が混ざっており(「そゆこと」「マジで」「ドヤ顔」など)、「固めの体裁なのにところどころ崩した表現が入っていて、コントラストがユーモラスでしょ?」といわんばかりの翻訳者の我が鼻について中盤まではあまり素直な気持ちで読めなかった(後半はだいぶましだった)。
とはいえ内容は興味深かった。セミコロンの成り立ちの歴史から意味合いを巡るトラブルの数々、著名な文筆家たちの活用方法(自分としてはマーク・トゥエインの狭量なエピソードが面白かった)そして最後は言語を用いるコミュニケーションにおける倫理観まで広がっていく流れは、いい意味で予想外だった。
言葉の規則にこだわりすぎるのはよくないし、ときには曖昧さも大事だよね、と思った。
