それぞれのカルピス "偶然性の精神病理 (岩波現代..." 2025年10月19日

偶然性の精神病理 (岩波現代文庫 学術 10)
それがなくては人類が生きて行けない誤謬としての真理は、生きる躍動を法則という凍結標本に変えてしまう。みずからを凝固させることなしには安心して生き延びることのできない人間の生。そこにすべてのニヒリズムの根源がある。みずからの安心を放棄した人だけが、真理の虚構性を告発する権利をもちうるのだろう。その意味で、発狂直前のニーチェが書き遺した内面の証言はあまりにも重い。こころの安定を失った精神病者と日々接し続けている精神科医として、真理の王国に安住することはみずからの責務を裏切る行為ではないのか。p.8
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