
あむ
@Petrichor
2025年10月22日

読み終わった
それぞれの物語に登場する芸術作品が展示されている場所に、この物語も一緒に展示されていたらどんなにいいかと思った。いや、この本を持って作品に会いに世界中を旅するのもいいかもしれない。
以下ネタバレ含みます
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壮大な愛の物語や生き方を見つめ直すような作品ばかりを読んでいると、ついつい自分もそうであるべきと思いがちだった。
生涯支え合える伴侶を見つけることが最大の幸せのように思えたり、
誰かを助けたり、大きなことを成し遂げることが人生の醍醐味に思えたり。
この短編集を読んでいると、そんながんじがらめの心がふわっと軽くなるような気がする。
伴侶がいなくても、歳を重ねても、自分のことを誇れなくても、失敗しても、大切なものを失っても。
常設展示室にふらっと立ち寄ったときに1つの作品に目を奪われたり、その中に物語を見つけたり、動きも喋りもしない芸術にただ没頭できればそれでいいのではないかと思える。
美しいものを美しいと、綺麗なものを綺麗だと、魅力的なものを魅力的だと、そう思えるだけでいいのだ。
それだけで、きっとこの先も強く歩いていける。
逆に言えば、そんな感情すらも失う人間にはならないように、生きていきたいと思った。


