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あむ
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@Petrichor
読書感想文を書きます
  • 2025年8月22日
    お探し物は図書室まで
    歳をとったらまた読み返したい、タイムリープして10代の私が読んだらどう感じるか聞いてみたい、そんな風に一生をかけて読み返していきたいと思える物語です。 以下ネタバレ含みます --------------------------- 誰かの人生に影響を与えた大切な本を読むということはとても尊い行為だ。 Readsをインストールして初めてこのアプリ内で出会った本を読んだ。 その人はこの本を一度手放してしまって、その後一生大切にするために再度購入したと言っていた。 共通の場所や人物がなにかを解決する物語は「自分もそこへ行きたい」「そんな場所に出会いたい」「この人に会いたい」そんな感想を抱きがちだ。 でも私はこの物語を読んでそうは思わない。 小町さんが言う通り、自分が抱えている悩みや求めているものを解決に向かわせるのは紛れもなく自分なのだ。 そのときの出会い、きっかけから色々なヒントを紡ぎだし、答えとするのは自分なのだ。 だからきっと、今の私の悩みを解決させるのも、どこかにいる小町さんではなく、私だ。 ただ、この本がそんなヒントになって、誰かを救うのなら、私もこの本のことをずっと心に置いて、ときに誰かに薦めたいと思った。 ああ、これが本を一生大切にするということなのか。
  • 2025年8月14日
    コンビニ人間
    コンビニ人間
    序盤の丁寧な描写に油断していたら後半の展開は怒涛。考える時間を与えないのになぜか考えることをやめさせてくれない、読んだ後の時間も支配する作品です。 以下ネタバレ含みます ----------------------------- 中盤突然現れる迷惑客。 これを読者も、古倉恵子も、「排除されるべき者」とただ判断した。 ではこの物語が、迷惑客の生い立ちや心理状態を詳しく描写するものだったらどうなのか。 同情して、排除しないで、寄り添うのか。 ラストシーンで恵子がコンビニで見せた行動をどう感じるか? 実際に自分が居合わせたら? 行動に理由を求め、それが自分にとって正当であれば相手の存在自体をも正当とする。 物語としての浅い共感ではなく、明確な存在として恵子のことを考えれば考えるほど、自分は結局ムラの人間なのだと、その事実を叩きつけられる。 白羽は悪か?恵子の友人夫婦は悪か?家族は?コンビニの店員たちは? 誰を悪だと思うかは、自分の裁きのモノサシだ。 これは社会に馴染めない人間を理解するための物語ではない、自分もまた、モノサシで裁きを下し何者かを排除してきた人間だと、その事実を叩きつけられる物語なのだ。 ------------------------------------ 私はこの本を読んで私以外の人間がどう感じるのかすごく気になる。 だが、身近な人の感想は絶対に聞かないと決めた。 その人がなにを「排除」するのか、してきたのか、知らない方がいいこともある。
  • 2025年8月9日
    Story Seller
    学生の頃から何年もずっとお気に入りの本です。 読書を始めたい人に「何がおすすめ?」と聞かれたら必ずこれを薦めるようにしています。 以下ネタバレ含みます -------------------------- 「光の箱」を学生のときぶりに読み返していて、当時の私はハッピーエンドに満足のため息を漏らしていたなと思い出す。 あれから色んな経験をして、色んな不条理を知ってしまった私は思う、track2までが現実で、bonustrackからは、理想の世界なのだろう、と。 人生とは大抵そういうものだ。 伝えたいことは伝えそびれてしまうものだし、 誤解は解けないものだし、 一番好きな人とは結ばれないことが多くて、 大切なことにはいつだって後から気づいて、 それは手遅れであることがほとんどだ。 この時私は思った。 一番好きな本を読み返すという行為は、とても尊い。 であると同時に、残酷なものであるのだと。 知ってしまうのだ。知らされてしまうのだ。 自分が変わってしまったこと、無垢に結末を受け入れられなくなっていること。 大好きだった結末に、疑問を抱くようになっていること。 作者がどんな意図でbonustrackを綴ったのかはわからない。 ただ重要なことは、たった数ページのbonustrackひとつで、完結していた物語をそこにいたるまでの伏線に変えた作者の手腕のすごさたるや、である。 だからきっとこの物語は、bonustrackを含めても、含めなくても、私のように理想と現実とで分けて考えても、よいのだと思う。 また、何年後かに読み返そう。 その時の自分がこの結末をどう捉えるか、楽しみである。
  • 2025年8月7日
    盲目的な恋と友情
    事前情報をなにも見ずに読め!というSNSの投稿を目にしたことがきっかけで読み始めました。 たしかに、正解。 甘ったるい恋愛小説が苦手な人も、必ず最後まで読んでほしい。 以下ネタバレ含みます ----------------------- 自分にとって一番の相手に同じように一番にしてもらえたとき、それは人間にとって「甘美な思い出」になるのだろう。 「一番」という概念は一対一では発生しない。 「甘美な思い出」を演出する舞台があるとしたら、それには必ず「一番になれなかった脇役」が必要なのだ。 彼女たちが盲目になって縋っていたのは恋なのか?友情なのか?それとも脇役を蹴散らす「一番」の栄光なのか。 この物語を読んで共感できる人物がいたとすれば、その人物が縋っているものに、きっとあなたも縋っている。共感できない人物がいたとすれば、その人物が縋っているものはあなたにとって縋る必要のないものだ。 理解できない執着を人は悪と呼ぶが、この物語に悪は登場しない。 誰かがなにかに執着するとき、それには必ず理由があって、この狂った運命に、私たちはいつだって同じように翻弄される可能性を秘めているのだ。 ------------------------ 記憶を消して今度は恋と友情を逆にして読んでみたいな。 全編を通して「美波」という人物は最も執着から遠い存在として描かれていた気がする。 それとも、「愛される自分」に執着していたのかな。
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