
ジクロロ
@jirowcrew
2025年10月28日

伊東静雄―戦時下の抒情
青木由弥子
読んでる
わがうたさへや
おほいなる 神のふるきみくにに
いまあらた
大いなる戦ひとうたのとき
酣(たけなわ)にして
神讃むる
くにたみの高き諸声
そのこゑにまじればあはれ
浅茅がもとの蟲の音の
わがうたさへや
あなをかし けふの日の忝(かたじけ)なさは
この詩に出会えたことをどこか嬉しく思う。
「大いなる戦ひ」と「うたのとき」が重なるような時代は、非常に稀な瞬間であり、おそらくは自分が生きている間には味わうことのできないであろう刹那。
詩の前半部は『イリアス』を彷彿とし、
後半部にはどこか『太陽と鉄』(三島由紀夫)における「共苦」を思わせる感がある。戦時下に三島が喪失し、いつかは取り戻したいと願っていたそれを、伊東静雄は彼の感性に応じて描写している感がある。