
DN/HP
@DN_HP
2025年10月29日
痩我慢の説
川勝徳重,
藤枝静男
かつて読んだ
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これは傑作だ。途中までしか読めなかった早朝にそう思って、日中にこの劇画のことを思いながら過ごして、もう一度最初から通読した夜に確信した。
今のわたしは「冴えない中年医師」の、「去し日の苦味」を思うような日々に近い。それでも「天真爛漫な姪」の「若さのきらめき」、そこにある希望にも共感したい。たしかに苦味ばかりだけれど、きらめきだってまだ。そんな絶妙な感覚も受け止めてくれるような、肯定してくれるような、やさしい「人生讃歌」。
中年医師の私とその姪。犬のベティ、その視点と犬への視点。周辺の様々な人々のそれぞれのLIFE。老いと若さ。醜悪さと良心。悲喜交々。それらがなめらかに移ろい流れながら劇画として形作っていく世界は本当に素晴らしいし、美しいと言いたい。小説でも読みたい感じだ。それでもこれは劇画だから出来る、出来た表現なのだ。その意味でも、やはり傑作。
「明日がある」という言葉というか事実には、ときには憂鬱になってしまうこともあるけれど、この劇画での「明日があるんだよ」というセリフには元気づけられた。そしてこの作品は、犬を描いた傑作劇画でもあるのだ。三人(犬)目の主役とも言いたいベティ(のサイケデリックな冒険も)最高。うん。わたしも元気を出してみるよ。






