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@nininice
2025年11月1日

夢の城
ミッシェル・ジュヴェ,
Michel Jouvet,
北浜邦夫
読み終わった
図書館で目にとまり借りてきた本。
著者についても、本の内容についても何も知らない状態で読みはじめました。冒頭、フランス、リヨンの町の風景描写から引き込まれました。作中に登場する十八世紀の城周辺に漂う霧、沼地にはえる植物、そのまわりの鳥や動物たち、周囲の人々の服装、料理、そういった細かい描写がどれも静かに美しく、読み心地がとても良かったです。
しかし物語を進めると、テーマは夢の収集などではなく、睡眠と夢に関する研究、実験、観察と観測。まるで狂気にのまれてゆくような、知りたい、暴きたいという欲求。城で行われる数々の奇妙で時に残酷な実験。ふしだらな生活。美しい情景描写とは裏腹に、生々しい人間が描かれていたように思います。
著者はフランスの脳生理学者であり、睡眠についての研究者とのこと。

