
Ryu
@dododokado
2025年11月3日
水中翼船炎上中
穂村弘
読み終わった
描きかけのゼブラゾーンに立ち止まり笑顔のような表情をする
ふたまたに割れたおしっこの片方が戒厳令の夜に煌めく
次々に葉っぱ足されてむんむんとふくれあがった夜の急須は
ごきぶりを吸い込みたての掃除機が浮かびあがってくる熱帯夜
それぞれの夜の終わりにセロファンを肛門に貼る少年少女
陽炎の運動場をゆらゆらと薬缶に近づいてゆく誰か
商店街大売り出しの福引のからんからんと蟹缶当たる
私の歩みにつれて少しずつ回転してゆく猫のあたまよ
溺れそうな西陽のなかでゆるやかに回転寿司の回転止まる
胡桃割り人形同士すれちがう胡桃割り尽くされたる世界
金魚鉢の金魚横から斜めから上からぐわんとゆがんでる冬
今日からは上げっぱなしでかまわない便座が降りている夜のなか
ゆめのなかの母は若くてわたくしは炬燵のなかの火星探検
「この猫は毒があるから気をつけて」と猫は喋った自分のことを