"金米糖の降るところ" 2024年9月23日

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@_angelicbe_
2024年9月23日
金米糖の降るところ
姉妹2人の取る行動は私にはずっと理解出来ない。理解は出来ないけど、わからないけど何故か芯が通っていて妙な納得感があり特に佐和子が「つらい」と思う瞬間や心の傷みは手に取るようにわかった。これはもしかしてフェミニズムの物語で女の話なのかもしれない。だって私も自分に恋愛感情を抱いていると名乗り出てくる人のことを大体信用していない。あとがきで綿矢さんが「(2人は)恋を聖域としてる」と表現していたのがとても腑に落ちた。究極のロマンチストだからこそ、現実の男たちを諦めているのかもしれない。 恋に対する倫理観が割とめちゃくちゃな人ばかりが出てくるし誰のことも全然共感出来ないけど、最後そんな人たちをもギョッとさせるような、排他するような、姉妹にしか理解らない2人だけのゾーンで膜を張って周りが入れないような関係値を見せて物語が締められるのが良かった 読者もキャラクターも、みんな2人の領域に入れない 自分で読む早さを調節できてしまうから私は小説を読むのが下手で、読むなら一気に読みたいけどよく手が止まるし(集中力の問題)間が空くと忘れてしまうからあまり読んでなかったんだけど、この小説はどんなに間が空いてもページを開けばすぐに物語の世界を再生出来て、前を読み返したり途中で中断する気持ち悪さみたいなものを一切感じなかった。章が多くて語り手が切り替わっていくから単に区切りやすいのもあったと思うけど、それがずっと不思議な小説だった。いつ、どこからでも物語に参加できた。 最後の方は少し肌寒いくらいの日に公園のベンチで読んでいたらどんどん日が翳って来てしまい、そのまま天気の話から入るか綿矢さんの解説がすごく情景にぴったりハマっていた。あと物語の終わりから地続きになった解説って初めて呼んだかも。
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