
ちびっこ
@chibicco
2025年11月5日
巨流アマゾンを遡れ
高野秀行
読み終わった
高野さんの本はやっぱり面白い。
南米のアマゾン川河口から源流付近まで、アマゾン本流を遡上する旅が記されているんですが、著者の他の本を読んでいれば分かるように、当然普通の観光客が楽しむような旅ではありません。何がどうなったら旅の日本人がインディオ保護区に住む各部族の代表が一堂に会す決起集会に参加できるのか……。運というか、巡り合わせが本当にすごい。
そういう面白さだけではなく、振り子のように揺れてぶつかるハンモックのシーンでは声を上げて笑わせていただきました。
笑いだけではなく、心にちくりと刺さるシーンも。
『ある意味では、この集会は、長年、白人の侵略者たちに圧迫され続けて来た彼らの最終的な敗北宣言ともいえる。今まで、ずっと自分たちの価値観で生きてきた、それをついに放棄して文明という同じ土俵に上がってしまったのだ。物でもなく個人の気持ちでもなく、システムを失ったとき伝統は絶える。』
外部の者の侵入、外の文明に触れざるを得ない環境……。先住民の地位向上を訴える過程で、文明や国家に否が応でも組み込まれていってしまう姿は、どうしようもなくやるせない。


