
Anna福
@reads--250309
2025年11月6日

もうひとつのエデン
ポール・ハーディング,
小竹由美子
読み終わった
おすすめしたい
メイン州の小さな島、アップル島。
逃亡奴隷や移民の子孫が極貧でも穏やかに暮らす混血異人種社会。
そこにやってきた宣教師ダイヤモンド。彼は善人だが黒人に対する生理的嫌悪感は拭いきれず悩む。
そして聡明な老婆エスターが本能的に危惧していた通り、彼の善意行動は集落を思わぬ方向へ導いていく…
自由と平等を掲げながらも排除を繰り返す国家の原罪が静謐な筆致の中に潜む。
優生学という名の差別と排除。
作中で繰り返されるノアの方舟のイメージは「神による壮大な優生学的排除」ではないのか。たとえその基準が異なるとしても。
「誰が生きるに値するのか」を決めるのは誰だ。
神の代理を人間が許されるのか。
いや、神であろうと人であろうとも。
マラガ島の浄化という史実に基づく。
いわゆるPASSINGに関する記述も興味深い。





