きなこ "あきらめません!" 2025年11月6日

きなこ
きなこ
@kinako2025
2025年11月6日
あきらめません!
会社員を定年後、夫と一緒に彼の郷里に移住した郁子。姑の隣家を買い、庭を理想のイングリッシュガーデンにし、ゆっくりと老後を楽しむはずだった。しかし図書館に行った帰りに迷い、市議会を偶然傍聴した時から彼女を取り巻く環境が大きく変化する。 垣谷美雨さんの小説はいつも女性に関する問題を取り上げ、エンタメに仕上げているのが見事というしかない。 真面目に会社員として生きてきた霧島郁子が、夫の故郷に移住してから、リアルに眼前に現れた男尊女卑の世界。東京に住んでいた郁子は、在職中に何度も心折れる経験をしていたが、ここまで直球の女性蔑視の考え方を当たり前のように口にする人を見たことがなく、若い女性議員をからかう市会議員の男たちを見て驚く。 彼女の驚きの一つひとつに共感できる。 著者は昨今の女性問題を念入りに調べたのだと感じた。ラストが明るく希望を持たせるというのも、彼女の作品が好きな理由の一つ。
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