

きなこ
@kinako2025
三度の飯と本が好き
- 2026年8月25日
アウシュヴィッツのタトゥー係ヘザー・モリス,笹山裕子,金原瑞人読み終わった考えさせられる1942年アウシュビッツに送られた一人の青年が3年後に解放されるまでの実話を元にした小説。 主人公ラリはアウシュビッツで、送られてきた人々の腕に番号のタトゥーを彫るタトゥー係になった。 他の重労働よりも少しばかり体力的には楽だが、精神的にはキツいことが多かった。 ドイツ軍が気分次第で自分たちの命をもて遊んでいる姿を目の当たりにし、衝撃を受けるラリ。唯一の救いはギタという女性に恋をしたこと。同じ境遇の彼女と会う機会は少ないが、生きてこの収容所を出て、ギタと一緒に暮らすことを夢見て、ラリは極限の環境を生き抜こうと努力する。 実話をもとにというのが、読んでいてとても辛かった。アウシュビッツに関係する書物も映画も観ていたけれども、この辛さには慣れることがない。 人権が皆無の世界で、人間はどこまで尊厳を持って生きることができるのか?人に優しくできるのか?自分自身に突きつけられているように感じた。もし私なら? - 2026年8月15日
ノーメイク鑑定士石田夏穂読み終わった考えさせられる会社内で生きる人への、理不尽な抑圧に関する四篇の短編集。 特に表題作『ノーメイク鑑定士』が秀逸だった。 得意先から「営業にノーメイクの従業員がいる」というクレームが入った。部長と部長代行の二人は、主人公の中村に誰か突き止めて改善させろと言うが、中村自身がノーメイクだということに気づいていない。 女性ならば必ずメイクをしないといけないのか?マナーだから?男性は髭剃りがそれに当たると言うが、本当にそうか? 女性にだけ社会から押しつけられる謎のマナーについて考えさえられる。 - 2026年8月10日
満月珈琲店の星詠み 〜星遣いたちの夜〜望月麻衣,桜田千尋読み終わったシリーズ7作目。 このシリーズが好きなのは本当に悪い人が出てこないことと、ハッピーエンドに近いほのぼのとしたラストだということ。 人生に行き詰まった時に、その人にピッタリのデザートやドリンクを提供してもらって、進むべき道をアドバイスしてもらえるって羨ましい。 いつか満月珈琲店で“サーたん”に接客してもらいたい私である(笑) - 2026年8月5日
詩人茨木のり子の誕生熊谷誠人気になる - 2026年8月5日
私の女の実ハン・ガン,斎藤真理子読み終わった考えさせられる韓国文学圧巻というべきか。ハン・ガンの初期の作品がずらりと並ぶ目次に、むしゃぶりつくようにページをめくる。 『私の女の実』は『ひきこもり図書館』で、『白い花』は『文芸ブルータス』に収録されていたのを読んでいたのだが、改めて単行本で読むと、また違った印象を受ける。 『赤ちゃん仏』、『赤い花の中で』が特に心に残った。 『赤ちゃん仏』に出てくる、主人公を“夢の中で脅かす「赤ちゃん仏」は、自らの偽善を知って嘲笑するもう一人の自分だろうか。”と訳者あとがきで斎藤真理子さんが解説しているが、私はそれと同時に主人公の夫も表しているのではないかと思った。自分の体の傷跡を理解して包み込んでくれるから聖母のような生き方を主人公に求め続けた夫の、赤ん坊の駄々にも似た感情。女を一人の人格を持った人間だということを忘れたかのように、妻である主人公に全て受け入れてもらおうとし、叶わないとわかると、別の女に聖母を期待する。 『赤い花の中で』も男兄弟の苛立ちが暴力となって唯一の女性である妹へ向かう。そして幼い弟の死から尼寺へと向かう主人公。 「九つの物語』が斎藤真理子さんも言っているように散文詩のような断章群で、それぞれの文章をかみしめながら読んだ。 解説を作家の桜庭一樹さんが書いているのだが、その中で韓国の作家 申栄福の言葉を紹介している。 「助けるというのは傘を差し掛けてあげることではなく、共に雨に打たれながら共に歩いてゆく共感と連帯の確認であると考えられます」 ハン・ガンの小説はまさにこういう行為なのだと。 このフレーズ、聞いたことがあると思ったのは、最近はまってみていた韓国ドラマ『素晴らしき新世界』で出てきたものだった。ヒロインの祖母が、ヒロインの恋人にいうセリフがこれ。 韓国は歴史的に武よりも文のほうが圧倒的に地位が上といわれる意味がよく分かる。文学が愛される国が羨ましい。 このハン・ガン・コレクションは未邦訳作品と新作を収録する予定だとか。楽しみが止まらない。 - 2026年7月26日
マンダラチャート垣谷美雨読み終わった考えさせられる垣谷美雨という作家はフェミニズム小説の手練れなのだが、この小説はその中でも秀逸なのでは?と思う。 主人公は63歳の北園雅美。定年延長して嘱託として働いている夫と二人暮らしだ。 何かにつけバカにしてくる夫に対して最近嫌悪感が募ってきている。 世の中の女性を軽んじている風潮も苦々しく思っている。 ある日彼女は近所のカフェでモーニングを食べていた。週二回だけのささやかな贅沢だった。カフェの客たちは知人の噂話をする中年女性やルッキズムまみれの男子学生たち。思わず彼女はテレビで見た、大谷選手の作成したマンダラチャートを思い出し、自分も書いていく。真ん中には「女性が胸を張って生きられる世の中にする」。周りのマス目にも「家庭内の設備は、家事に熟練した人間が設計すること」、「偏見に満ちたコマーシャルを全部排除すること」、「偏見に満ちた発言をするアナウンサーを馘にすること」などと書き込んでいった。するとマンダラチャートの中心が台風の目のようになり、雅美の全身は吸い込まれていった。 そして彼女がタイムスリップをして行った先は昭和の日本だった。 自分が生きてきた社会をまざまざと目の前に出されると、狼狽える。雅美のように何も分かっていなかった若かりし頃の自分に、叱責しつつ教え諭したい。 男尊女卑の偏見に満ちた社会で精一杯抗おうとする彼女は、結果が出なくても十分にかっこいいし、応援したいと思う。 少しずつでも良くなっているんだよね?と振り向きながら確認している自分にも、小さな賞賛をおくりたい。 - 2026年7月24日
願うのは私に禁じられたこと小山内園子,梁貴子気になる - 2026年7月23日
あなたが走ったことないような坂道有賀未来読み終わったなんて言うんだろう。主人公の黄星瑶は絶えず疾走しているイメージ。心も身体も揺れて揺れて、どうしようもなく、とどまっていられないほどゆらいでいる。 それは自分が何人かわからないから。国籍も血も正確なところはわからない。そりゃあ揺らぐよね。 養母の語りと生母の様子(これは誰の記憶?)を読むと、読者も一緒に心が揺らいでいく。 - 2026年7月23日
- 2026年7月12日
ハロー、ベイビーキム・ウィギョン,小山内園子気になる - 2026年7月9日
魔女の体力 40歳、女性が体力をつけるべきときイ・ヨンミ,田中千晴読み終わった韓国文学ベテラン編集者の女性は、低体力と高血圧に悩まされていた。子ども連れ友人家族たちと出かけた旅行で自分が情けなくなった。体力の不安から登山に参加しなかったからだ。子どもの運動会の保護者競技に出場し、二度も転んでしまった夫は少しずつ運動を始め、体力がついていた。楽しそうに登山の話をする夫を横目に、自分だけなぜこうなのかと思い、それから彼女も少しずつ運動を始めた。三十代後半から近所を走ったりスイミングを始めたり。徐々に体力がつき始めた彼女はサイクリングも始め、とうとうトライアスロンにも挑戦するようになる。初めてのトライアスロンで泳ぐ湖にはネズミの死骸が浮かんでいたが...。 私自身も読書が好きで運動不足な人間なので、彼女の気持ちがよく分かった。 運動を始めてどんどん身体だけでなくメンタルも強靭になっていく彼女の姿に羨望の眼差しを向けつつ読了。 ページの下には走っていたり自転車に乗っている女性のイラストがあり、微笑ましい。最後のページはもちろんGOAL! 「年をとり、失いやしないかと恐れるものは、お金ではない。それは、尊厳、優雅さ、品位、独立、自律、自由、威厳、尊敬だ。肉体の健康が崩れ始めると、これらすべても一気に、手に負えないくらいに急速に消えてしまうだろう。 自分の意志とは関係なくこの世に生まれたけれど、命が尽きるその日までは、自らの意志でしっかりと生き、そして終わりを迎えたい。」 そう言い切る著者がとてもかっこいい。 - 2026年7月7日
ノーメイク鑑定士石田夏穂気になる - 2026年7月5日
ハラヘリ読書宮田ナノ気になる - 2026年7月4日
とにかく、デモ!チョン・ボラ,吉良佳奈江気になる - 2026年7月3日
詩と散策ハン・ジョンウォン気になる - 2026年7月3日
おつむの良い子は長居しない高嶋政伸,髙嶋政伸気になる - 2026年7月3日
記憶を語る,歴史を書く朴沙羅気になる - 2026年7月3日
読み終わった考えさせられるSNSで紹介されていたので読んだ。2017年発行なのだが、今の政治状況を見ていると、当時よりも危機が増しているような気がする。 国民投票は公正に行われないといけないのは当然だが、2010年5月に施行された現在の国民投票法は欠陥だらけだと筆者は言う。広告業界に身を置いていた筆者は、広告が国民投票の勝敗を決定するのに、メディアに対しての規制がないのが問題だと主張する。確かに資金調達の点から見ても改憲派と護憲派はバランスが悪い。しかし公平であるべきのメディアが莫大な広告費に目が眩んで、CM等の露出について偏りが出るのではないかと言う著者の意見に、さもありなんと思う。 政治は私たち国民の生活に直結しているということは、2月以来国民も理解したのではないだろうか。 キチンと政治を見守り、おかしいと思えば意見をするということを当たり前の社会にしていきたいと願う。 - 2026年7月3日
恋歌朝井まかて読み終わった朝井まかてさんの作品は初めて。本作で直木賞を受賞している。なかなか読み応えがあった。 幕末から明治にかけて、大きく日本社会が動き変化している中で、女性たちが巻き込まれながらどのように生きていったのか。樋口一葉の師である中島歌子の生涯を描いている。 病床の中島歌子の見舞いに来た弟子と女中が、歌子の家で彼女の手記を見つけ読み始める。 それには幕末に商家から武家へ輿入れした歌子の半生が綴られていた。 男たちの権力争いに巻き込まれ、理不尽な扱いを受ける女たち。踏まれても踏まれても、なお頭を持ち上げる雑草のように、生き延びる姿に涙が出る。 序章で展開した伏線が終章で見事に回収されていて、驚くとともに胸がいっぱいになる。一気に中島歌子の生き様が豊かで次世代を見越したものだと感じられ、主人公の人となりがリアルに立ち上がる。 - 2026年6月30日
メガホンとペンライトキム・キョンファ気になる
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