
kasu.
@11uyksm
2025年11月12日

読み終わった
借りてきた
単行本
『もともとクマが好きで研究を始めたわけではない。
卒論で扱うにあたり調べるうちにクマの魅力にどっぷりハマり、気がついたら研究者になっていた』
そんな作者さんのクマ研究の道のりをまとめたエッセイ。
近年、クマの被害が深刻化してきて、他人事では済まされないなと感じ始めた私。
たまたまXで見かけたこちらの1冊に興味が湧き、即図書館で予約。
🐻「はじめに」がもう既に読んでいて面白い。目次をみて、また更に面白い。興味が湧くようなタイトルばっかり!ワクワクしながら読み始めると、読みやすい&面白い!で読む手が止まらずあっという間に1章読了。
最近読書時間がまともに確保できない私でも短時間でサクサク読み進められちゃうくらい面白い内容。
【1章 ウンコを集めて卒論を書く】
🐻『原則としてクマが食べるために生きた人間を襲うことはない。ただし、死体はたべるかも』P.21
ここ最近はクマの人身被害や目撃が後を立たず、遂に自衛隊まで派遣されるレベルになってきたから、生態系の変化が本当に加速しているんだなと恐ろしくなった。
🐻『11月〜12月頃に冬眠、翌年3月〜5月に冬眠を終える。…冬眠中に飲まず食わずで出産。繁殖期は5月〜8月。晩秋に着床。もし、秋に十分な栄養を蓄えられなければ、受精卵は着床できない。』P.21~22
今年は山での餌が不作の年。って事は、この冬には子グマの数が少ないのかどうなのか…。読んでいてそればかりが気になった。
💩『クマのウンコは食べた物の匂いがする。桜の花や実を食べたあとのウンコは桜餅、植物の葉を食べた後ならお茶の葉のような匂いがするのだ。』P.24
…いや、面白過ぎるでしょ。ってのが私の感想。その後の岩手のクマ研究者との会話はなかなか衝撃。(面白い)
🐻クマ棚・・・クマが木に登って枝先の方になっている果実を貪り食った跡。枝ごと強引に手繰り寄せるため、不自然な形に曲がったり折れたりして棚状に固まっている。P.38
これは知らなかったし、多分見たことがある。鳥の巣だと思っていた物がまさかのクマ棚…😨この冬、クマ出没多発地域で葉の落ちた木々をよーく観察しようと思う。もちろん、山には入らず遠くから。
💩ウンコの中のタネを取り出してプランターに植えて発芽させ、予想した植物と合っているのか確かめたり、鳥のくちばしだと思っていたものが実はクマの爪だったり。ウンコから得られる情報の多さに感動。研究万歳🙌P.47.48
【2章 俺はクマレンジャー】
🐻『別にクマは鈴の音を嫌っているわけではない。人間を避けているのだ』P.67
鈴の音が嫌なのかと思っていたけど、「鈴の音=人間」という認知があって避けられていたんだと知れたけど、最近のクマは鈴の効果なしらしい。クマにとって人間を恐れる対象じゃないと認識したってことなのか、鈴をつけていると逆に居場所を教えているようなものなんじゃないかと心配になった。
🐻『針葉樹の上も森のクマ達の間で人気がある。』P.92
あんなに大きな重たい体で軽々木に登って休むなんて信じられないし、知らずに木の下へ人間が入っちゃったら…と考えると恐ろし過ぎる。
ーキリがないのでここからは厳選ー
・どんぐり凶作の年には行動範囲が広くなる
・短期間(秋)でかなりの食べ物を食べる。そのため凶作年はクマたちにとってどれだけヤバいことか。(9〜11月に1年の80%のカロリー摂取をする。)
・クマハギ(木の皮を剥いで舐める)はどんぐり凶作翌年の夏や、暖冬の年の初夏に多い。
・食べ物の好みが家系それぞれ。(肉を母グマが食べれば子も食べる。)
・石油、石炭ペンキ、シンナー、防腐剤の匂いが大好き。
『過疎化でクマとの遭遇が日常化』
この目次ページに書いてあることが今まさに起こっている問題そのもの。
「状況が変われば鈴の意味も変わる」
人間が居るから避けとこ〜から、ここに餌がありますよ〜の意味に変わるのは気付いていたけど恐怖。
クマの糞は「多様な動植物の糧であり、この森の明日」という最後の締めの言葉にグッときた。
出会えば怖い動物No. 1なのは変わらないにしても、森でひっそり暮らしているはずのクマがなぜ人里に出てきて、木の実や草花を食べるはずのクマが人間を食べるのか。それを小池さんの研究を通して深く考えさせられた。森にいる動植物は死んでも森の一部になって自然を豊かにしてくれる。一方で人間は?森を奪い、管理もろくにしない(藪や食糧や燃料等)、死んでも自然に還らない。クマ側からしたら一番害なのは人間なんだろうなぁなんて思ったり。もちろん人を襲うことは許される事ではないけれど。
この本をきっかけにクマの研究や植物の研究に興味が出る人も多そう。それくらい小池さんのユーモアと研究の成果が面白く書かれていた。
「クマに興味を持ってくれたら大成功」と書かれていたけど、まんまとハマったヤツがここに居るので、小池作戦は大成功。