

kasu.
@11uyksm
読了本の記録...✍️
- 2026年2月24日
アンと青春坂木司読み終わった文庫本和菓子のアンシリーズ、2作目📕 今作もとっても読みやすく、リアルな人間模様に心揺さぶられる。 また、前作よりも成長した杏子(きょうこ)が見られ、頼もしい和菓子屋のアンコちゃんになってきた。 たくさんの鋭い視点に「そういうことか」の連発。 あっという間に読み終わっちゃった… 〜アンちゃんがデパ地下の和菓子店「みつ屋」で働き始めて八ヶ月。販売の仕事には慣れてきたけど、和菓子についてはまだまだ知らないことばかりだ。でも、だからこそ学べることもたくさんある。みつ屋の個性的な仲間に囲まれながら、つまずいたり悩んだりの成長の日々は続きます。今回もふんだんのあんことたっぷりの謎をご用意。待ちに待ったシリーズ第二弾!〜 🎎女子の節句 友達と京都へ旅行に行った杏子。途中、嫌味なおばさんに出会い、身につけた接客スキルでその場を上手くやり過ごす。過去に似たような嫌味なお客さんがいたことを思い出し、その時の様子を友達に話す。 ・和菓子に込められた意味を悪意として利用するおばさん。昔の考えを大事にするのも礼儀が大事なのも分かる。けど、あまりに酷いやり方に胸糞悪くなった。 ・「スタートする場所や時間が違うだけなんだよ。でもそれは、男も女も一緒なんじゃないかな。」(P.129) みんな平等。すぐに優劣付けたがる世の中だから、忘れがちだけど知らないだけ、時差があるだけの事。そのジャンルも様々で、時代と共に重要なことも変化していく。人それぞれだから強要はしちゃいけない。忘れがちだけど、忘れちゃいけないことだなと改めて感じた。 🕺男子のセック 杏子が働くみつ屋の向かいに新たなお店が。そこで働く1人の従業員に見覚えがあって… ・まさかこの話と最初の「空の春告鳥」のお話が絡むとは。人生に迷う杏子に心苦しくなるお話でもあった。そして周りの人間との関わり。身に覚えのある感覚にこちらまで泣けた。 🥤甘いお荷物 「ジュースが飲みたい」という娘のために母親はジュースが売っているお店を杏子に尋ねる。その後、みつ屋の前で何やら言い合いを始めた親子。ヒートアップしすぎて周りの目線も気になる中、娘が激しく転倒してしまい…。 ・親子のお話になるとどうしても刺さってしまう私。スーパーで働いたこともあるから、この手のお客様にも心当たりが。娘を思うあまり過保護になってしまう、それを身近な人間たちは理解してくれない辛さ。正直、このタイプの思想の人は好きではなけれど、この母親はちゃんと周りからよく思われないことを理解していて、言動も控えめなので同情してしまった。そして章の締めの言葉でうるっときた。 🌰秋の道行き 様子がおかしい“乙女”こと立花さんの遅めの夏休み。休暇の前にもらったお菓子の意味に込められた謎に杏子が挑む。 ・「不安な気持ちを、ぜんぶ口に出して他人にぶつける。それって、すごく子供っぽい気がするんです。(省略)大人としてどうかと思うんです。」(P.350~351) その言葉で傷つく誰かがいるってことを忘れちゃいけない。ほんのちょっとの我慢。それが出来ないならせめて場を弁える。大勢が気付けるところ、該当者が見る場でのそういった言動は、ーそいつの心こそが、汚れているからー。 - 2026年2月15日
事故物件怪談 恐い間取り2松原タニシ借りてきた読み終わったデジ図書相変わらず事故物件に住んでいるタニシさん。 今作は前回住んでいた事故物件のお話の続きが収録されていたり、実際に撮れた心霊写真が多め(?)だったり。 正直怖さは前回よりも薄め。でもそれがリアルな恐怖体験だったりするよね。 〜「自分の部屋に入るのが怖くなる……」――実話を揃えた怪談集! 事故物件とは、前の住人が自殺・殺人・孤独死・事故などで死んでいる部屋や家のこと……。 そんな事故物件を転々としている「事故物件住みます芸人」の松原タニシが、実際に体験&取材した不思議な話をすべて間取り付きで紹介するベストセラー・ノンフィクション。〜 第一章 僕と事故物件 🏠事故物件間取りギャラリー 住むには至らなかったけど、気になった事故物件の間取りコレクションの一部をお披露目。 ・間取りや写真と共に色々な訳あり物件が登場。間取り見るの好きな私としては嬉しいページの数々。どれも築年数が結構経っていたり、身近で探してありそうな間取り。たまに変わった間取りだったり。心理的瑕疵の告知義務、間に人挟めばOKってよりも継続して告知していて欲しいと思うのは私だけ…? 第2章 誰かの事故物件 🎆花火大会 花火大会前に行われる宴会が恒例行事のとある会社。30代半ばの中堅社員の方が井上陽水の格好をしてモノマネをしながらリバーサイドホテルを歌うのがお決まり。とある年にお邪魔すると、井上陽水の姿が見えず…。 ・悲しくもクスリと笑える回。本人も毎年楽しみにして居たんだろうなぁ。それにしても、写真にハッキリと写る姿はさすが。 第三章 事故物件の旅 ✍️新潮社クラブ 作家のカンヅメ施設である「新潮社クラブ」。ここは開高健、三島由紀夫、川端康成などの文豪の霊が出るという噂のある場所。そこで1泊するタニシさん。 ・三島由紀夫の幽霊が出る…!!なんとも羨ましい!!私も会えるなら三島氏の幽霊に会いたい。ただそれだけの思いで読んだ。笑 - 2026年2月8日
和菓子のアン坂木司読み終わった文庫本解説まで入れると文庫で405ページもあって分厚さにたじろいだけど、読み始めてみると登場人物たちのキャラの良さや温かみのある物語と謎解き、和菓子の名前の由来や歴史の面白さに手が止まらず一気読み。 和菓子って餡子のイメージが強くて、どれも同じ様な味と思っていた私に喝を入れてくれているような物語。読了後には和菓子が食べたくなり、もっと詳しく知りたくなる。 〜デパ地下の和菓子店「みつ屋」で働き始めた梅本杏子(通称アンちゃん)は、ちょっぴり(?)太めの十八歳。 プロフェッショナルだけど個性的すぎる店長や同僚に囲まれる日々の中、歴史と遊び心に満ちた和菓子の奥深い魅力に目覚めていく。 謎めいたお客さんたちの言動に秘められた意外な真相とは? 読めば思わず和菓子屋さんに走りたくなる、美味しいお仕事ミステリー!〜 🤲「愛想も良さそうだし、それに何より爪が短くて清潔だもの。」(P.25) ・私も爪の白い部分が長いのが無理なので、ほとんど無いくらい短くするけど、そうするとオシャレとは無縁の指先になってしまうのがややコンプレックス。杏子も自分の手を「ウインナーみたいで爪なんか伸ばす気にもなれなかった指。」と言っていて、妙に共感してしまった。そして和菓子屋さんの面接で杏子が言われたこの言葉。評価してもらえた事に驚きと喜びでキュンとする杏子。私自身も評価してもらえた様な気持ちになった。 🙏「水無月」という名の三角形に切り出された平たいういろう。「縁起ものなんです」(P.61~62) ・「氷の節句」というものがあるのを初めて知った。氷を模したお菓子で、無事に過ごせた半年の厄を払い、これから半年の無病息災を願って食べたという。上の小豆は魔除けの意味を込めて必ず載せられるらしい。昔の人の考えることって凄い。和菓子にそんな意味の込められたものがあるとは。興味深い。 🎭立花さんの仮面が崩れた瞬間(P.78~81) ・冷たい印象だった立花さんがまさかの…!!読んでいてすごく癒された。椿店長と杏子の間で立花さんのことを「あれ」と呼ぶのがまたクスッと笑えた。 🌲私は画面をスクロールして『松風』の名前の由来を読む。(P.137~138) ・いつも上菓子を二つと『松風』を一つ買っていくおばあちゃん。語源とおばあちゃんが毎回買っていく理由に涙がほろり。 🌼「知識なんざ、あとからどうにでもなる。でも愛嬌と説得力は勉強して身につくようなもんじゃないからな。」(P.215) ・気難しそうな職人気質からも認められる杏子の人柄。この場面にすごくほっこりさせられた。 ⏳『源氏物語』の登場人物とおなじお菓子を今でも食べられるなんて、すごいことだよね。ずっとずっと昔から、時間は途切れなく続いている。その時間の別名を、歴史という。(P.216) ・ここの部分がすごく好き。私も神社とか昔からある物や歴史が好きだから、この考えにとても共感できた。 - 2026年2月5日
木精いとうあつき,森鷗外借りてきた読み終わったデジ図書表紙の綺麗さに惹かれ、デジ図書で読んでみた。 初の森鴎外作品。乙女の本棚シリーズは絵が素敵で文も読みやすい。この作品は特にそうで、本屋さんで出会ったら買いたい1冊になった。 〜人気シリーズ「乙女の本棚」第34弾は、文豪・森鷗外×イラストレーター・いとうあつきのコラボレーション! 小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。 呼べばいつでも木精の答えないことはない。 暖かい野の朝、谷間で「ハルロオ」と呼び、木精の答を聞く。それがフランツの楽しみだった。〜 🗣️「ハルロオ」=「ハロー」? 作品の絵にもHelloの文字が書かれていたので、きっとそうなのでは…? 🌳木精(こだま) 私の解釈は、 ・これはやまびこなんじゃないか ・子供にしか呼べないトトロのような森の精霊(妖精) の2パターン。 読む人によって色々な解釈がありそうな1冊で、チャットGPTと会話が盛り上がった。 まるで童話のようなお話と絵も相まって、短い文でも想像以上に楽しめた。 綺麗なお話だったので他の森鴎外作品もチャレンジしてみたい。 - 2026年2月5日
事故物件怪談恐い間取り松原タニシ借りてきた読み終わったデジ図書映画は2作とも観ていたけど、原作は読んでいなかったのでデジ図書で借りて読んでみた! テーマ別で章ごとに分かれていて、とても読みやすい。サクサク読めたけど、お話によっては最後に写真が出てきたりするので、要注意。。 〜恐くて部屋に入れない…! 殺人、自殺、孤独死…etc「ワケあり物件」の不思議な話を、間取り付きで紹介します。 事故物件とは、前の住人が自殺・殺人・孤独死・事故などで死んでいる部屋や家のこと。 そんな「事故物件」を転々としている、「事故物件住みます芸人」の松原タニシ、初の書き下ろし単行本!〜 📖実際の事故物件の写真や間取り、動画で撮影した不可解なモノの画像が添付されていて、本物なんだなと実感できる作り。 🧹特殊清掃のバイトもしたことのある作者のタニシさん。浴槽で孤独死した物件の清掃。世の中こんな仕事を本当にしてくれている人もいるんだなと実感。清掃とご遺族の方との会話、そこでの出来事などから、生と死について考えさせられた。意外と身近で起こりうる話だよなぁと考えさせられた。 🏠インターホンに残されていた老人の姿の画像にゾッとした。我が家のインターホンも来客の顔を記録するようになっているので、もし不在の間に記録が残っていたら…と思うと怖い。。生きている人なのか、👻なのかは分からないけど、老人の着ている服に少し笑ってしまった。(ごめんなさい) 👻第二章はタニシさんが友人や知り合いから聞いたお話の詰め合わせ。「事故物件に住んでいると、事故物件に住んでいる人が声をかけてきてくれる。」私にも同じようなところがあって、見える人のところには、不思議な体験話が集まってくるし、同じスポーツをやっている人が行く先々に必ずいて、クラブチームに誘われたり。“類は友を呼ぶ”のかなぁと勝手に思っている。 📸急にガチの心霊写真が現れて驚く。 🔚「人の死と密接に関わることで、漠然としていた自分の人生にも刻々と死が迫りつつあることに気付かされました。」(あとがき) 「得体の知れないもの」ではなく、「人の死」として心霊を扱うのは、沢山の不思議な経験をしてきたタニシさんだからこその言葉だなと感じた。 - 2026年2月2日
アガシラと黒塗りの村小寺無人借りてきた読み終わった単行本作者・小寺さんのXでのスペースを拝聴している内、人柄に惹かれ、興味を持った1冊。 こんな物腰い柔らかい方から生まれる作品ってどんなんだろうと思っていたけど、民俗伝承ミステリーだとは。 正直、小難しいやつか…とも思ったけど、読んでみたら全くそんなことはなくて、むしろわかりやすくて、読みやすい。 Xでは「コーラが飲みたくなる小説」と言われていたので、チャットGPTとコーラポイントをメモしながら、本当にコーラが飲みたくなる小説なのか検証。 結果、本当にコーラが飲みたくなる小説でした。。 〜「裏山の神社で見つかった古文書を解読してくれ」 親友から依頼を受け出向いた先は、巨人伝説の残る奇妙な村だった… 古文書オタクの黒木鉄生は、大学時代の親友・八重垣志紀に頼まれ、村で発見された「沼神文書」と呼ばれる古文書を解読するために巨人伝説が残る農村を訪れた。村に到着したその夜、セイタカ様と呼ばれる巨大な地蔵の前で、議会議員の息子・島田光男が殺害された。さらに2日後には、こしかけ山と呼ばれる場所で八重垣の義妹・咲良の幼馴染が首を吊った状態で見つかる。「沼神文書」の解読作業を進める黒木は、村と村人の秘密、2人の死の真相に迫ることになり…。 第2回黒猫ミステリー賞受賞!一気読み必至の民俗伝承ミステリー。〜 🔪1日目の終盤、唐突に明らかな殺意・悪意のあるヤツ目線でのお話に切り替わる。先の展開が凄く気になる。(P.43~46) ⸻ 【コーラポイント】 🥤下戸の黒木に気を使って水森の義父がコーラを!(P.54) 突然のコーラに謎の喜び。そして、(P.57)では詳細が…! ビンのコーラとグラスとレモン!もうすでにこの時点でビンのコーラと冷えたグラスとレモンが欲しい…絶対美味しい。 🥤咲良お嬢様は1日に7~8本はコーラを飲むらしい。(P.94) 糖分もそうだけど、カフェインもなかなか摂取しているような…。それにしてもコーラを飲む場面が出てくると、コーラが飲みたくなる。 🥤「コーラは黒であるべき、ブラックでなければコーラではない。ゆえに、透明なコーラはコーラにあらず、と思い込んでしまう。だから、コーラが飲みたい人は透明なコーラには手を伸ばさないわけです」(P.176) こんなにコーラばっかり書いてある小説、見たことないなとおかしくなってしまった。 🔚物語の中に伏線が散りばめられていて、最後に全て回収される気持ちよさ。 先の展開が全く予想できないので、メモをすることも忘れて一気読み。 私もフルイモノが好きなので楽しめた1冊でした。 - 2026年1月25日
ホテルローヤル桜木紫乃読み終わった文庫本読書友と「感想を話し合おう!」を目的に読み始めたこちらの作品。 まるでホテルの歴史を見ている様な感覚になる。男女の生々しい心理表現や廃れていくホテルの事情など、創作とは思えないようなリアルさに読む手が止まらず一気読み。 〜北海道・釧路の湿原を背にするラブホテル「ホテルローヤル」。生活に諦念や倦怠を感じる男と女は“非日常”を求めてその扉を開く〜 📷シャッターチャンス スーパーの事務で働く女性が彼氏の新たな趣味に付き合わされるお話。 新しい趣味がヌード写真を撮ること。挫折を語る男に同情して言葉のままに撮影。読み手にも伝わる美幸の複雑な気持ち。はっきりとは語られないけれど、妙にリアルなやりとりや最後の一節に女性側と男性側との温度差がはっきりと分かった。 ⛩️本日開店 お寺の住職の女房と檀家さんは関係を持たないといけないお話。 時代なのか、檀家さんと関係を持たないと寺の存続が難しい。だからと言って住職の奥さんが身体を張ってそこまでする必要があるのかは謎。代が変わることで色々なことが変化していく。その変化が虚しい。 🏩エッチ屋 ホテルローヤルを営んでいた父親に代わりホテルを継いで経営していた娘と、大人の玩具を扱う会社に務める男の話。 前の2話よりも明るい雰囲気のお話に思えるけど、よく考えればラブホテルに生まれ育ち、衣食住もそこで過ごす異様さ。父親と似たような男の人に惹かれてしまうのかな…とも思えるお話。雅代に幸あれ。 🫧バブルバス 姑の新盆にお坊さんが来ず、浮いたお布施用のお金で夫をラブホテルに誘う妻のお話。 夫婦の生々しい生活と性事情。お金、子供、進学、仕事、介護、同居とリアリティ溢れる内容だった。妻の誘い文句がまたストレートでいいなと不覚にも思ってしまった…。そして夫。自分の両親の世話を嫁にさせる男には碌な奴居ないなと思った。妻は全てお見通し。 🧑🏫せんせぇ 家庭の事情に悩む教師と両親が行方知れずになった女子高生のお話。 前の話を読んでいくにつれてホテルが廃業になった原因の1つがこのお話で分かるのではないかと、楽しみにしていた。けど、読んでみて驚き。思っていたのと違った!そして女子高生の不潔感が妙にリアル。先生と女子高生のその後を詳しく知りたかったと思う反面、ラストの終わり方に少しの希望(救い)も見えたような気がした。 ⭐️星を見ていた ホテル清掃員のおばちゃんのお話。 子供が3人も居るのに、連絡があるのは次男だけ。寂しい話かと思ったけど、読み進めてみると周りの人々に恵まれ、働き者で、夫との仲も問題なく、貧しいながらも充実しているように思えた。とある事件を境に急におばちゃんの無関心さが気になった。ラストは夫も全てを知っているのかどうか気になった。切なさの中に夫の安心感が頼もしくもあった。 🎁ギフト ホテルローヤルを営業する前のプロローグのようなお話。 このお話で全てが繋がって、完成される。「ホテルローヤル」の歴史を見せられているような感覚。 大吉父ちゃん、自由人すぎるよ…。今までのお話は薄くモヤがかかったようにどんより、ジメジメしているお話が多かったイメージに対して、このお話は希望があるような割と明るく前向きなお話だった。 🔚もしかしてこの小説、時間軸が逆行してる…? 各章に少しずつの繋がりがあるのもまた楽しめた。1〜100まで事細かに描かれている訳ではないのに、ひしひしと伝わってくるものがあった。 - 2026年1月20日
緑の庭で寝ころんで宮下奈都借りてきた読み終わった単行本今作も宮下さんの描くエッセイは綺麗で繊細で共感性の高いものだった。 子供達のこと、自分自身のこと、誰かを思ってのこと。全て良かった。なんでこんなに惹かれるのかすらわからないまま、また宮下さんのエッセイに手を出すだろうな。 〜ふるさと福井で、北海道の大自然の中で、のびやかに成長する三人の子どもたち。 その姿を作家として、母親として見つめ、あたたかく瑞々しい筆致で紡いだ「緑の庭の子どもたち」(月刊情報誌「fu」連載)4年分を完全収録。 ほかに、読書日記、自作解説ほか、宮下ワールドの原風景を味わえるエッセイ61編、 掌編小説や音楽劇原作など、単行本初収録の創作5編も収載。〜 🌌きらきらしない星 「きれい!」そう口にしたが、本当は気味が悪かった。見えるはずのないものを目にしてしまった気分だった。(省略)こんな星空は初めてだった。自分の尺度を大きく超えてしまうものには、美しいという概念さえ湧かないものだとつくづく知った。「すごいね」娘が興奮した様子で言った。(P.13~14) ・この星空の表現は「羊と鋼の森」にも出てくるので、北海道の山奥で生活した経験が表現力の元になっているんだなと改めて感じた。星空は見えすぎると本当に不気味。怖いとさえ感じる程。そして、娘さんのまさかな一言に吹き出した。 💭忘れる 「忘れたくて忘れる人はいないんだから。アイロンありがとう」(P.42) ・息子さんのズボンを洗濯したまま干し忘れていた宮下さん。アイロンでなんとか乾かそうとしたけれど、まだ湿っぽさが残っていた。それなのに息子さんは「ありがとう」と伝えた。『…嘘でしょ?』が素直な感想。次男さんだから多分、中学生のはず。大人でもこんな対応してくれる人、滅多にいないんじゃない?大人より大人。素敵な息子さんにほっこりさせられ、忘れっぽい宮下ママに共感。(私も忘れっぽい) 🏫受験生? 「宮下さん、前はずいぶん心配してたよね。上のお兄ちゃんが小一のとき、校庭の金網のところから体育の授業をこっそり見てたよね。」(省略) 超マイペースの息子に集団生活ができるのかと心配で居ても立ってもいられず校庭まで走ってしまったことがあったのだ。(省略)その後、少しずつ力が抜けて楽観的になれたのは、心配しなくなったというより、子どもたちの力を信じられるようになったからだと思う。(P.56~57) ・私も時々思う。娘が小学校へ通うときにはしっかり自分の足で歩いて登下校できるのかなとか、危険な場所・行動を咄嗟に判断できるのかなとか。考え出したらキリがないけど、子供って親の目のないところでしっかり育ってるんだろうなと思わせてくれるお話。宮下さんのこのエピソードは意外だったけど、そうしたくなった気持ちもよく理解できた。 🐿️秋の森のリス(P.95~97) ・森のリスについてと、本好きあるあると、息子さんのリスっぽさ溢れる読書スタイルについて書かれているお話。全体を通してみてもこのお話が好きで、共感性の高さと息子さんのまさかな言動にクスリとさせられた。 🏠家事は誰のため 『自分の手でやれるはずのこともやらずに語る言葉は薄っぺらい。人生とは何か、人間とは何か、考えたってほんとうにはわからないだろう。』(P.126) ・身の回りのことを自分たちでこなせる宮下家の子供達。自分があまり手を掛けてやらないからだと、ときどき後ろめたい気持ちになるそう。同級生が親のミスを嘆いていたときに「自分で準備すればいいのに」と思える頼もしさ。宮下家のお子さん、みんなウチの旦那よりもずっと立派ですよと言いたくなった。 📕しあわせでなかったはずがない(P.165~166) ・小川洋子「琥珀のまたたき」 📕一本道ではないよろこび(P.168~169) ・山本ゆり「syunkon カフェ雑記 クリームシチュウはごはんに合うか否かなど」 ・三章は「本のことなど」というタイトル。本がテーマで、宮下さんが読んだ本の中からおすすめなどを紹介してくれている章。その中で読んでみたい2冊も増えて、作家さんの読了ポストを覗いているような感覚に新鮮さがあった。 🚗左オーライ(P.202~209) ・これまでのほのぼのエッセイとはかなり雰囲気の違うお話で印象的だった。人には思い出したくない過去や心の内に秘めておきたい感情があると思う。きっと宮下さんの中でこのお話を世に出すときに、すごく勇気が必要だったんじゃないかなと感じた。疎遠になってしまった友人の現在を気にかけて、『どこかでこの記事を目にしていてくれたら…』とも思ったのでは?なんて思えた。何より旦那さんの抱擁力には天晴れ。 🎹ピアノの中の羊(P.240~242) ・本屋大賞を受賞した「羊と鋼の森」に関するお話。宮下家のピアノの調律をしていた男性…主人公の外村が初めて出会った調律師(きっかけの人物)に何となく似ている様な気がして。『もしかして、モデルにしたのかな』なんて思いながら読んでいたら、終盤に衝撃の事実。鳥肌がたった。 ☕️第32回 おいしいコーヒーを(P.297~298) ・このお話を読んで気付く。『あ、私、宮下家の末っ子ちゃんのエピソードが大好きだ』と。2人の兄に見守られながら育っているであろう娘さん。少しおっちょこちょいで発言がチャーミング。宮下ママや兄たちからたくさんの愛を注がれながら育っているんだろうなぁと思わせるお話だった。 📚第38回 つい(P.310~312) ・みんなで一緒に本屋さんへ行くなんて羨ましい一家。それぞれの本を購入して帰宅しても母親は家事が気になって目の前の情熱に蓋をする。「つい」がストッパーになりすぎて本が読めない。これは世の中の母親に(限らず働く人全てにも当てはまる)凄く刺さるお話なんじゃないかなぁと。そして締めの一言に凄く共感。本当にやりたいことを後回しにせざるを得ない人、必見のお話。 🔥第47回 やればできるか(P.331~332) 「やればできるようになる」こんな根性論ばかりで嫌になる私には合っていたお話。人には向き・不向きがあるし、なんでもかんでもやればできる、努力すればできる、なんてもんでもない。その人のセンス次第でもあるだろうと思っている私の気持ちを見事に書き出してくれていた。共感と励まし。その両方をこのお話から感じ取れた。 - 2026年1月10日
借りてきた読み終わった単行本食と日常に関するエッセイ。 日常が綴られているだけのエッセイだけど、ほっこり出来たり、時にはほろりと泣けたり。 だけどそれだけじゃなくて、宮下さんの繊細さだったり、丁寧な暮らしだったり、感性が覗けて、綺麗な物語をかけるのも納得。だし、読み手にも気付きを与えてくれる1冊だった。 ・・・〜北海道のトムラウシに1年間移住したり、本屋大賞を受賞したり……。さまざまな変化があった6年半の月日を、「食」をとおして温かく描き出す。 ふっと笑えて、ちょっと泣けて、最後にはおなかが空く。やさしく背中を押してくれるエッセイ78編に、書き下ろし短編1編を収録。〜・・・ 【アップルクーヘン】 「林檎とバターのいい匂いがする」夫がうれしそうにいった。焼きたてを切り分けてふたりで食べた。素朴で、温かくて、涙が出るほどおいしかった。(P.16) 🍎息子さんが産まれて、1日がどこで始まってどこで終わるのかすらわからなくなるくらい疲弊しているのに、スキマ時間でお菓子を焼く宮下さん。『涙が出るほどおいしかった。』に、慣れない育児の疲労や、夫が子を連れ出してくれてようやく自分時間を作れたことへの安堵が混ざっている気がしてほっこり。 【クリスマスの夜】 ママはもう一生分のプレゼントをもらっちゃったんだよとむすめを抱きしめた。プレゼントは今、にこにこ笑って目の前にいる。(P.23) 🎄ママへのクリスマスのプレゼントもサンタさんに頼んでおいたよ、と手紙に書いていた娘。翌朝のやりとりに幸せなクリスマスの雰囲気が残っていて心が温かくなった。 【フムス】 宮下家のおせちに入れるというフムス。(P.26〜28) 🍱初めて聞いた食べ物だけど美味しそうで、我が家も挑戦してみようと思った。 【栗ご飯】 そんなこともあるんだと驚いたお話。(P.31) 🌰悲しいはずなのに、なぜかほっこりする。 【大きな鍋】 大きな圧力鍋で材料を煮込んでから、中くらいの鍋に取り分けて、スパイスや辛さを控えたカレーをつくる。成長するにつれて子供たちの食べる量が増え、中鍋に取り分けるのは大人の分になった。(P.33~34) 🍛宮下さんみたいな丁寧な暮らしに憧れるけど、私の性格ではきっと無理。子供用と大人用の2種類のカレーを手作りで用意するのも尊敬。(我が家の子供用はアンパンマンのレトルトカレーが定番😓) 【失敗ごはん】 笑われたことのない人は脆い。失敗したことのない人は危ない。一度失敗したことは、繰り返さない。同じところではつまずかなくなる。(省略)恥ずかしかったり、悔しかったり、そういう体験が人を強くする。そして、その打たれ強さこそが、人を遠くまで歩かせてくれるのだと私は思う。(P.45) 😢良い母ちゃんすぎる。私もこんな対応ができる母親になりたい。人としても親としても尊敬できる宮下奈都さん。神。 【お正月のカレー】 「子供たちのことは、とにかく食べさせることさえ考えてあげればいいんです。それ以外は、自分の体調を優先させてください。」(省略)ほんとうに体調の悪いときに、子供のごはんをつくれるだろうか。(省略)うつ病だと診断されても、人に食べさせることが義務付けられている母親業とは、なんと重い任務だろうか。「とにかく食べさせること」、その裁量は母親に任されている。(P.52) 🧑🍳うつ病と診断された友人と主治医の先生の言葉。それを聞いて自分だったら…?と考える宮下さん。母親業のリアルな悩みすぎて刺さるお話だった。 【虎のバター】 ちびくろさんぼのお話。(P.95) 🧈このお話が出てくるとどうしても柚木麻子さんの「Butter」を思い出してしまう。 🐯次男くんのピュアさにクスリと出来て、ほっこりなお話だった。 【キャンプの朝】 「コーヒーってこれからのための飲みものって感じがする。紅茶はどちらかというと振り返るための飲みものなんじゃないかなぁ」(P.115) ☕️私もコーヒーはもう少し頑張りたい時や一日を頑張りたい時の午前中に飲むことが多い。紅茶はゆっくり過ごしたい時。なので、なんかわかるなぁと共感。 🏕️このお話は中学生の息子さんたちの『コーヒー体験』でもあり、幼い頃は苦さに顔を顰めていたけど、寒い山のキャンプで飲んだ朝コーヒーを「美味しかった」と答えた。息子さんたちの成長がみれたような気がして自分の子さながらのもどかしい様な気持ちが味わえた。(P.117) 【トースト】 各自でやればいいのにとは思わない。ひとりひとりのリクエストに応えながら、この朝のにぎやかなひとときがどれほど貴重で楽しいことかと思う。この子たちも(省略)自分でトーストを準備する日が来るのか。まだしばらくは誰も巣立たない子供たちの未来を想像して、胸がいっぱいになったりするのだ。(P.138) 🍞朝の忙しい時間に家族からのバラバラな注文にもしっかり応えてあげる宮下家のママ。こんなママのいる家なら早起きして朝ご飯が食べたくなるだろうし、家族との時間もご飯の時間も楽しめる環境を自然と作り出せているのに感心。まだ手のかかる子供たちの将来を見据えて暮らしているのもまた尊敬。そんな幸せな時間がずっと続いていてほしいと読み手にも思わせるお話だった。 【公園のホットワイン】 一杯のホットワインの温かさに涙が出て初めて、私は自分がつくづく疲れていたのだと知った。(P.173) 🍷冬の寒い日でも幼い子供をベビーカーに乗せてブランケットをたくさんかけて公園へ連れて行くのが良い母親の務めだと思っていたと語る宮下さん。いつまでも砂場で遊んで帰ろうとしない息子さんに付き合っていたものの、急にむなしくなってベンチへ。その時に遭遇したおじさんから分けてもらったホットワインに癒されたお話。あまり細かくマイナスなことが書いてある訳ではないのに、初めての育児への疲れや他人との関わり合いを遮断された生活へのストレスがこのお話を通じてひしひしと伝わった。 【おついたち】 毎日、学校から帰ってくる子供を迎えて、「おかえり」と声をかけるとき、胸は弾む。よく帰ってきたね。今日も一日元気でがんばれたね。(省略)外では楽しいことばかりじゃないだろう。辛い目にだって遭うだろう。それでも、家に帰ってくる。うまくいかなくても、悲しいことがあっても、なんとか乗り切って帰ってきたことをよろこびたい。(省略)あたりまえに来ると思っていた日を迎えることが、あたりまえではなかったのだと知ったから。会えなくなった人のことを思う。会える人のことも思う。会おう。会えることをよろこぼう。(P.183) 🗓️このエッセイの中で一番と言っても良いくらい好きなお話。毎月1日を祝う母を疑問に思っていた宮下さん。大人になって、子供が産まれて、自分が母親になってようやく「おついたち」の意味がわかる。この習慣を知らなかったので最初は宮下さんと同じ気持ちだったけど、このお話の締めを読んだら激しく同意。本当に“当たり前ではない”んだなってこの歳になってようやくわかった。娘が毎日元気に幼稚園から帰ってきてくれる。それも当たり前ではない。「元気に帰ってきてくれてありがとう」なんだなと気付かされた。 - 2025年12月27日
366日福田果歩借りてきた読み終わった単行本HYファン必見の作品📕 366日からインスパイアされて作られたこの作品はHY「366日」そのもの。 〜沖縄の高校で出会った美海と湊。 母を失い絶望している湊を元気付けたのは、美海の笑顔だった。やがて恋に落ち、時を重ね、こんな日々がずっと続けばというふたりの願いを、一瞬で奪う悪夢が湊を襲う…。 あなたは最後を誰と過ごしたいですか?本当の幸せとは何ですか?〜 💔『こんなに苦しいなんて、知らなかった。知っていたら、恋なんてしなかったのに。』(P.3) プロローグ〜最高。初っ端のこの2行が良すぎる。 ❤️🩹『恋ってもっと、キラキラしたものだと思ってた。好きな人を想うだけで、日常が華やいで、嬉しくて楽しくて、幸せで。でもそれって、両想いでいられる間だけの、期間限定の感情なんだ。失恋したら、幸せだったころの何倍も辛くて悲しくて苦しい思いをしなきゃいけない。(省略)恋なんてしなければ、こんな苦しい感情、知らなくて済んだのに…。』(P.9) 付き合って2週間の先輩彼氏に振られてしまった娘の陽葵が、母の美海に相談している場面。人を好きになったことを後悔する娘に対して「恋をして誰かを好きになるって、とっても素敵なことだよ」と言って聞かせる母。 思春期真っ只中のごたごたと、酸いも甘いも知り尽くした大人の助言。素直に語り合える親子関係にもほっこりさせられた。 🎵『最近お気に入りのHYのアルバムを流す。』(P.18) 私の青春でもあるHY。わかってはいるけど、やっぱり物語の中に出てくると嬉しくなる。 😢『これが、恋なんだ…。(省略)大好きな曲も、恋をした瞬間、切なくて苦しくて、泣けてしまう曲に変わった。』(P.38) 恋を知った高校時代の美海。この辺の表現が特にエモくてたまらなかった。 💖『あなたを愛しています。365日じゃ足りないくらい。』(P.101) この作品を象徴する一文。 🌌『立ち止まった琉晴が、ゆっくりと振り返る。夜の闇に紛れたその顔は、やっぱり知らない人のような気がして、ドキリとした。』(P.152) エモさを強く感じた部分。 👵「自分の好きなものを、忘れたらだめだよ」(P.206) 湊の祖母の言葉。好きなものって時間と共に忘れちゃうこともあるからハッとさせられる一文だった。 🗼陽葵が湊に会いにいくところから涙が止まらず。(P.215~) 🔚登場人物全員の心の内側を知ることが出来て、より感動。映画よりも小説の方が「366日」の歌詞を強く感じられる作品だった。 - 2025年12月20日
かわいそうだね?綿矢りさ読み終わった文庫本積読くじ積読くじ10冊目📕 恋人が元カノを居候させると言い出したのに対して色々とモヤモヤする樹理恵を描く「かわいそうだね?」と、女子同士の複雑な友情を描く「亜美ちゃんは美人」の中編2作が収録。 綿矢りささんの作品はこれが初。 女性目線のあるあるを鋭く描いてるイメージを勝手に持っていたので答え合わせをするような気持ちで読み始めた。 《かわいそうだね?》 💁♀️読み始めて早速違和感。彼氏の隆大が海外育ちで外国の感覚が強めだからか、なんか妙に共感ができない… そして主人公の樹理恵にも違和感。『本当にそれでいいのか?』と言いたくなる。 💔隆大の家に居候する元カノ・アキヨと、それをよく思わないので追い出そうと考える自分を「火垂るの墓」に登場する“西宮のおばさん”に重ね合わせて考える場面。(P.67) ようやく共感できると思ったら火垂るの墓… SNSでも時々、西宮のおばさんの対応について議論されるけど、私は嫌い派。大人気ないおばさんを見ていると嫌気がするので嫌い。 🧑🧑🧒「大人になっても心が広くなるわけじゃなくて、いつまでたってもごく一部の人間、本人を軸にしてコンパスで描いた小さな輪の内側にいる人々しか“身内”と思えないのだなと感じた」(P.68) 悪者にしか見えない西宮のおばさんだけどここの部分は共感ができて、結局私もおばさんと同じ心理なんだなって気が付いた。 🚗 「ドライブの時〜・・・バックするときのドライバーのお男性の仕草がセクシーと言う女性は多い。しかし私は〜・・・日の光に目を細め、運転席の庇(ひさし)をかざしたり、日陰に入ると戻したりする仕草がセクシーだと思っている。」(P.111) なんだか妙にリアルなところをついてくるなぁと共感。これにプラス、サングラスをかける仕草が入っていたら「それそれ!」と強く共感出来たのになぁなんて。笑 🧳旅行にて隆大のケータイを盗み見る場面。(P.119) 浮気を疑う女性あるあるな行動だなぁと思いつつ、その内容がまたなんかリアル。 📩アキヨに対して最初から『なぜ?』と思うところはあったけど、このメールのやりとりからしてこの女性があざとい・もしくは計算高い女認定。(P.120~P.129) 🫣「自分のメール思い出してキャアアってなるなんて、意味ないにも程がある」(P.131) ここがまた凄くあるあるな場面。歯磨きとか髪乾かしてる時に不意に思い出して『うわぁ〜』ってなるの、なんでだろうね? 💢遂に樹理恵がブチ切れる場面は読んでいて爽快。 『そうそう、女ってこうでなくちゃ!』って言葉の連続で、最後の最後にようやく気持ち良く読み進められた場面。(P.141~P.156) ⭐️最初は海外育ちの彼やそれに寄り添おうとする主人公の姿に疑問しかなかったけど、だんだんと共感できる。なんなら終盤はほぼ共感。リアルな女の感情を見せられた。 そして、最初のイメージと最後のイメージの変化。私は違うと思っていたけど、実はおなじだった…みたいな感覚。なんだか火垂るの墓の西宮のおばさんの時と同じ構造だなぁと。(以下この現象を【西宮のおばさん構文】と呼ぶ) 《亜美ちゃんは美人》 さかきちゃんは美人。だけど亜美ちゃんはもっと美人。亜美ちゃんはさかきちゃんの真似をしているのに、周囲からはさかきちゃんが真似してると思われがち。容姿が優れているってだけで何でも優遇され、スクールカーストでもそれが著しく力を発揮する。 🙋♂️亜美ちゃんの彼氏が体育祭に来てみんなに紹介する場面。(P.169~P.172) 紹介される前から目を惹きつけられる男性が亜美ちゃんの彼氏だとわかってしまった瞬間のさかきちゃんの反応がとても好感を持てた。亜美ちゃんのことを好きになれないさかきちゃんは皮肉にも亜美ちゃんと馬があってしまう。この場面が一番強くそう感じた。 💞「そうなんですよ、敏腕マネージャーです。今日の飲み会も、亜美に近づいてくる男の人が来たら、はねつけちゃいますからね!」(P.175) この悪気がないであろう一言で周りの男子たちのさかきちゃんへの態度が決まってしまった瞬間。切なすぎる。男子達のその後の言葉もまた酷いもんで、さかきちゃんをこの場から逃がしてあげたくなった。 ❤️🩹「私が笑っていさえすれば、本当に楽しんでると思い込んでる。人の痛みが分からない子だ。」(P.177) ここはもう共感の嵐。何も言い返せない場面で好き勝手言われて、もう少しこっちの気持ちに寄り添った言動してよ!って心の中で凄く思った。 👿ときどき現れるブラックさかきちゃんが痛快。(P.178) ⁉️大学を卒業して就職した2人。亜美から「新しい彼氏ができた」と言われて会いに行く。待ち合わせ場所に現れた亜美と彼氏にさかきちゃんは驚く。(P.205~P.211) 🤨「本来眉毛のある位置に眉毛がなく、薄いねずみ色だった。剃っているのだろうが、なぜ剃らなければいけないのかが分からない。」(P.212) さかきちゃんの着眼点が鋭すぎる。私もこのタイプの眉の剃り方をする男の人が苦手。ロクな人じゃない感じがさかきちゃんのフィルターを通してビンビンに伝わってくる。 🔚 結局このお話も最後まで読んでみたら【西宮のおばさん構文】に私はなった。共感が出来ない(しづらい)、複雑、なイメージから読み進めていくとある時を境に共感が出来ていたり、自分もよく考えたらそうかもと気付かされたり。綿矢りさマジック。 そしてあるあるな細かい描写が多くてとにかくリアルなのでイメージも湧きやすかった。 結果、綿矢りささんの作品は女性目線あるあるばっちりでした。特に今作「亜美ちゃんは美人」が共感の嵐。すごい。 - 2025年12月11日
人間椅子ホノジロトヲジ,江戸川乱歩借りてきた読み終わったデジ図書Xで見かけて気になった「人間椅子」 こちらの乙女の本棚シリーズをお勧めされて、気になったので探してみたらなんとデジ図書にあったので即借り✨ 『・・〜私の膝の上には、いろいろな人が入りかわり立ちかわり、腰をおろしました〜・・ 作家である佳子に届いた1通の手紙。「奥様」と始まるその文章には、ある椅子職人の生活が綴られていた。』 🪑読み進めるうちに『これはもしや…』と思ってくる。椅子の中に人間が入っているなんて誰も思わないし、思いたくもないよね。 ✉️2通目の手紙が最大の問題。本当のところはどうなのよ?と問い詰めてやりたくなる。けど、どちらにせよ、こんな手紙を出してくるような男とは関わりたくないと心底思った。 - 2025年12月10日
満月珈琲店の星詠み 〜星遣いたちの夜〜望月麻衣,桜田千尋読み終わった文庫本シリーズ7作目📕 鳥取・長野・失恋・生きにくいと感じる…このキーワードにピンとくる方は是非こちらの小説を手に取って欲しい。 各章を読み終えた後に心がスーっと軽くなっていくようなお話ばかり。 今作、過去一好きでした🥲💓 🌕今作、①〜⑥巻までの繋がりはほとんどなく、本当に“新たな章の始まり“って感じがした。 ただ「桐島」。この名前がずっと引っかかっていて。 「桐島」「写真」「モテ男」といえば④巻にも出てきたあの人…。でも繋がりが読めない。かと言って全く繋がりがないのに新作⑦巻で同じ名前は使わないよな…なんて思ってみたり。次回作とかでこの「桐島」について語られる章があることを期待。 ☕️今作もやっぱりフード&ドリンクがとても良い✨ 2章に出てきた「高原のゼリー」は私も実際に阿智村の満月珈琲店で食べたので、お話の中で登場して超超超超⭐︎歓喜⭐︎ この2章に至っては私との共通点が多くあって、凄く共感出来るお話だった。しかも泣けた…。 過去作含め、このお話が一番好きになりました。 🐈3章での結婚観について語っている場面。これも過去の私と同じだったので共感。 🎵星遣いが『You Raise Me Up』を歌っている場面があったので、私もYouTubeで検索して聴きながら3章を読んでみた。…曲に合わせて、ワケのわからない所で泣ける。(誰でも聴いたことがあるであろう曲なので聴いてみてね。※この曲のYouTubeコメント欄を見ちゃうとより泣ける😭) 今作良すぎて、あっという間に読了しちゃってロス💔 このシリーズ、やっぱり最高だなぁと改めて感じた。 - 2025年12月4日
仮面病棟知念実希人読み終わった文庫本積読くじ積読くじ9冊目📖 “療養型病院に強盗犯が籠城。事件に巻き込まれた外科医・速水秀悟は強盗犯に撃たれた女を治療し、脱出を試みるうち、病院に隠された秘密を知る。現役医師が描く〈本格ミステリー✖️医療サスペンス〉” 🏥序盤、速水が先輩医師の紹介で当直バイトを引き受けている病院先に入るシーンでのこと。(P.12) 『ん?』と思う人物出てきちゃってるよね…。これ隠すつもりなしのやつ?と思いながら読み進める。 👨⚕️「いやあこんな日に限って、私が診療報酬明細のチェックで残業していたのは不幸中の幸いでした。」(P.53) あからさまに怪しいやつ(医院長)がまた出てきちゃった。言動が全て怪しい。とにかく怪しい。 👩「・・・よかった」(P.115) ピエロと人質達との争いの場面。 治療してもらって速水にすっかり懐いた愛美のこの一言。それは何に対しての「よかった」?? 登場人物全員が怪しくて何か隠していそうな雰囲気。 速水は愛美につけ入れられるのが早い。 愛美は得体が知れなさすぎる。 医院長はあり得ないくらい怪しい。 看護師2人も医院長にくっつきすぎ。グル感満載。 不信感がほぼ全員にありつつ、時々くる緊張感漂う展開に読む手が止まらなくなった。 これはどんでん返し…?んんー。 読み進めていくうちに、正直ラストの展開はほぼわかる。読了後の衝撃度は低かった。 けど物語の途中、これから何が起こるのか、ヒヤヒヤドキドキの展開は良かった。一気読み必至の楽しめる作品。難しく考えることもなく気楽に楽しめて、尚且つ読みやすかったのもまた良かった。 実は映画の方も気になって読み途中で映画を観るという意味不明な楽しみ方をしたけど、映画は映画・小説は小説でそれぞれ楽しめる作りだった。 - 2025年11月29日
金閣寺三島由紀夫読み終わった文庫本積読くじ積読くじ、8作目📚 ー「美は・・・・美的なものはもう僕にとっては怨敵なんだ。吃音と醜い外貌に悩む学僧・溝口にとって、金閣は世界を超脱した美そのものだった。ならばなぜ、彼は憧れを焼いたのか?ー 正直読み始めはかなり苦戦。難しい…。 中盤くらいからは何となく理解出来てきて、後半はチャットGPTの力も借りつつ無事読了。 三島由紀夫という人物は「自死の仕方が大胆」なイメージしかなかったけれど、「三島文学」に触れてみて三島由紀夫の思想にも触れているような気がして考え深かった。 🔥「俺たちが突如として残虐になるのは、たとえばこんなうららかな春の午後、よく刈り込まれた芝生の上に、木洩れ陽の戯れているのをぼんやり眺めているときのような、そういう瞬間だと思わないかね。」(P.135) なぜだかここの部分が三島由紀夫らしさ(生き様)を感じた。 〜ここからはチャットGPTとの会話を抜粋〜 👩 旅行、凶。西北がわるし。と書いてあるにもかかわらず、西北へと旅をしようと決めた場面。天邪鬼な行動をしているのに御神籤で行き先を決める神頼みな一面が幼稚さと苦しみを描いているような気がして複雑だった。(P.229) 📱・運命に逆らうことで運命に従おうとする。反抗まで含めて、神頼み になっている。 ・幼稚さの正体は🔸御神籤に従うと「神のせい」🔸御神籤に逆らうと「逆らった自分は特別」どっちにしても、溝口は 自分を特別な存在にできる。だから御神籤に依存する。 ・苦しみの正体、「俺はただの負け犬じゃない」という幻想を作る。御神籤はそのための道具。 🔥この矛盾が金閣寺を焼く衝動につながる 👩 神隠しにあったように消えよう(旅に出よう)とする溝口。誰からもみないふりをされる溝口。自分を金閣寺の一部だと思っていて、そこから自分一人だけが奪い去られる必要があると思っている。なんだか溝口が少し気の毒に思えてきた。(P.229) 📱・ 自己否定と自己救済が同時にある。👉 無視される普通の消失ではなく、意味ある消失にしたい。 ・「他人が自分を無視している」👉 世界に拒絶された少年が、絶対の美に愛を求めている。 ・ 「自分も金閣寺の一部だ」これはとても切ない発想。家族にも所属できない、社会にも所属できない、友人にも愛されない。だから美にだけ所属しようとする。そこから「一人だけ奪い去られる必要がある」と感じるのは、愛しているのに拒絶される痛みの裏返し。 ・溝口は、自分の居場所をどこにも見つけられなかった。👉生きる意味を「金閣寺」という幻想に依存するしかなかった。 👩 「私の胸は高鳴った。出発せねばならぬ。この言葉はほとんど羽ばたいていると云って良かった。私の環境から、私を縛めている美の観念から、私の轗軻不遇から、私の吃りから、私の存在の条件から、ともかくも出発せねばならぬ。」ここが結構好きだなって思った!溝口の全てが詰まっているような気がして。早く解放されたいんだろうなぁと。とにかくワクワクしている、心浮かれている溝口が想像できた。(P.230) 📱 ・「私を縛めている美の観念から」👉美こそが彼の呪いであり救い。 ・あなたはこう言った「とにかくワクワクしている、心浮かれている溝口が想像できた。」 その「ワクワク」は、希望だけのワクワクじゃない。苦しみに押し潰されて、ようやく手にした『抜け穴の興奮』に近い。 👩 「母を醜くしているのは希望。汚れた皮膚に巣喰っている頑固な皮癬のような希望、不治の希望であった」といっていたけど、母からの期待が溝口にとって重荷に感じていた?そんな母への嫌悪感を身体中がむず痒くなるような気持ち悪さ(比喩として皮癬を述べた)をいっているのかな?(P.252) 📱 ・皮癬(ひぜん)という比喩の気持ち悪さ。この比喩は三島が“母への嫌悪”を身体感覚にまで落とし込んだ表現。 ・「母の希望」が溝口にとっての呪い👉期待されることが、彼の自己嫌悪を刺激する。 ・母への嫌悪+自己嫌悪の投影👉溝口は母が嫌いだから醜く見えるのではなく、自分自身が満たされていないから、母の希望が痛みとして返ってくる。 ・母の希望は優しさの形をした“圧迫感” であり、溝口の孤独をより深くしていく。 👩 溝口は金閣寺を燃やす前に童貞を捨てておきたかった?捕まる、または自死しようとしていたから、その前の思い出作りって感じなのかな?そしてやたらと女性の中に有為子の影を探しているよね。(P.279) 📱・性欲そのものよりも “存在の証明が欲しい” という感情 に近い。性体験は「人としての完成」みたいな象徴に見えてしまう👉性を「存在の確かさ」として求める、という歪みだね。 ・「思い出作り」ではなく、“存在を確かめる儀式”👉 「自分はちゃんと生きたのだ」と確かめたい衝動 が強い。 ・なぜ溝口は「女性の中に有為子を見る」のか👉 「現実の女性」ではなく、「理想の美」を探している ということ。溝口は人間の女を好きなのではなく、「美のイメージ」として追い続けている。つまり、女性を「人」としてではなく、美の容器(器)として扱ってしまう。これは溝口の“美への歪んだ信仰”から来ている。 👩 「私は金閣寺を築いたおびただしい官能的な力の棲家だと思うのであった」 これはどういう意味?金閣寺は美の象徴だったのに、金閣寺の中に官能的な力が住んでいるって…「官能=美」でもあるのかな?(P.321) 📱・まず、「官能」はエロさだけを指す言葉じゃない👉 「官能的=性的」というのは一部でしかなくて、 文学的には“美に対して身体ごと震える感覚”みたいなニュアンスが大きい。 ・金閣寺は「完全な美」=「人を圧倒し、支配する官能の力」👉美は官能と同じくらい人を支配し、狂わせる力を持っている。だからあの一文は、金閣寺には、美(=人を圧倒する官能的な力)が宿っている。『そこは官能のエネルギーそのものの住処だ。』という意味。 ・金閣寺は溝口にとって🌟美の象徴🔥官能の象徴⚡️支配と強迫の象徴。全てが重なっている存在。だからこそ、彼はあれほど金閣寺に囚われてしまう。 🚬そしてラストのあの一文。(P.330) なんだかやるせない気持ちになった。 溝口に幸あれ。 🔥「三島文学」について ・三島文学=「美」と「生」と「死」の三角形をめぐる文学。 もしかしたら三島自身が何かコンプレックスを抱えていたのかなぁと感じさせる。 作中に出てくる柏木という変わった男もまた身体的ハンデがあるにも関わらず、それを武器として扱っている強さを持っている。そこに憧れる?溝口も本当はそうなりたいと思っているんじゃないかなと。 「その後の溝口がどうなったと思う?」ってテーマで読んだ人に聞いて回ったら、十人十色の回答がありそうで面白そうだなぁなんて。 - 2025年11月22日
優等生は探偵に向かないホリー・ジャクソン,服部京子借りてきた読み終わった文庫本前作(自由研究には向かない殺人)に引き続き、高校生のピップが魅せる推理に完敗。今回新たにポットキャストやSNSを使った調査にワクワクさせられた。 友人の兄の失踪の裏に隠された真実に『よく出来たミステリだなぁ』と感心。 次回作、早く読みたい!けど…。 ただならぬ不穏な予感にドキドキ。 みんなハッピーエンドであれと願うばかり。 (前日譚を先に読んでいるので、「あとがき」にて書かれていた内容から嫌な予感がしている。) 🕵️♀️前回の事件で友人の心のケアをしつつ、新たな事件に挑むピップ。少なからず自身も心の傷が癒えていないはずなのに…。その中でもやはりラヴィの存在はピップにとってかなり癒やしなんだろうなと感じる部分が作中に沢山あって良かった。 🕵️♀️狭い街だから、身近な人から意外な証言が得られたり。そこで繋がってくるんだ…と驚かされる展開ばかりが待っているので読む手が止まらまくなった。 🕵️♀️後半に行くにつれてピップの精神状態が心配に。読んでいて文字の配置からも不安定さが伝わってくる。 🕵️♀️「約束する。ピップもだよね?」「がんばってみる」P.531 …いや、もうフラグですやんー!!!!!!!!! 物語の締めもまた不穏。これは3作目はやく読まねば。 - 2025年11月12日
借りてきた読み終わった単行本『もともとクマが好きで研究を始めたわけではない。 卒論で扱うにあたり調べるうちにクマの魅力にどっぷりハマり、気がついたら研究者になっていた』 そんな作者さんのクマ研究の道のりをまとめたエッセイ。 近年、クマの被害が深刻化してきて、他人事では済まされないなと感じ始めた私。 たまたまXで見かけたこちらの1冊に興味が湧き、即図書館で予約。 🐻「はじめに」がもう既に読んでいて面白い。目次をみて、また更に面白い。興味が湧くようなタイトルばっかり!ワクワクしながら読み始めると、読みやすい&面白い!で読む手が止まらずあっという間に1章読了。 最近読書時間がまともに確保できない私でも短時間でサクサク読み進められちゃうくらい面白い内容。 【1章 ウンコを集めて卒論を書く】 🐻『原則としてクマが食べるために生きた人間を襲うことはない。ただし、死体はたべるかも』P.21 ここ最近はクマの人身被害や目撃が後を立たず、遂に自衛隊まで派遣されるレベルになってきたから、生態系の変化が本当に加速しているんだなと恐ろしくなった。 🐻『11月〜12月頃に冬眠、翌年3月〜5月に冬眠を終える。…冬眠中に飲まず食わずで出産。繁殖期は5月〜8月。晩秋に着床。もし、秋に十分な栄養を蓄えられなければ、受精卵は着床できない。』P.21~22 今年は山での餌が不作の年。って事は、この冬には子グマの数が少ないのかどうなのか…。読んでいてそればかりが気になった。 💩『クマのウンコは食べた物の匂いがする。桜の花や実を食べたあとのウンコは桜餅、植物の葉を食べた後ならお茶の葉のような匂いがするのだ。』P.24 …いや、面白過ぎるでしょ。ってのが私の感想。その後の岩手のクマ研究者との会話はなかなか衝撃。(面白い) 🐻クマ棚・・・クマが木に登って枝先の方になっている果実を貪り食った跡。枝ごと強引に手繰り寄せるため、不自然な形に曲がったり折れたりして棚状に固まっている。P.38 これは知らなかったし、多分見たことがある。鳥の巣だと思っていた物がまさかのクマ棚…😨この冬、クマ出没多発地域で葉の落ちた木々をよーく観察しようと思う。もちろん、山には入らず遠くから。 💩ウンコの中のタネを取り出してプランターに植えて発芽させ、予想した植物と合っているのか確かめたり、鳥のくちばしだと思っていたものが実はクマの爪だったり。ウンコから得られる情報の多さに感動。研究万歳🙌P.47.48 【2章 俺はクマレンジャー】 🐻『別にクマは鈴の音を嫌っているわけではない。人間を避けているのだ』P.67 鈴の音が嫌なのかと思っていたけど、「鈴の音=人間」という認知があって避けられていたんだと知れたけど、最近のクマは鈴の効果なしらしい。クマにとって人間を恐れる対象じゃないと認識したってことなのか、鈴をつけていると逆に居場所を教えているようなものなんじゃないかと心配になった。 🐻『針葉樹の上も森のクマ達の間で人気がある。』P.92 あんなに大きな重たい体で軽々木に登って休むなんて信じられないし、知らずに木の下へ人間が入っちゃったら…と考えると恐ろし過ぎる。 ーキリがないのでここからは厳選ー ・どんぐり凶作の年には行動範囲が広くなる ・短期間(秋)でかなりの食べ物を食べる。そのため凶作年はクマたちにとってどれだけヤバいことか。(9〜11月に1年の80%のカロリー摂取をする。) ・クマハギ(木の皮を剥いで舐める)はどんぐり凶作翌年の夏や、暖冬の年の初夏に多い。 ・食べ物の好みが家系それぞれ。(肉を母グマが食べれば子も食べる。) ・石油、石炭ペンキ、シンナー、防腐剤の匂いが大好き。 『過疎化でクマとの遭遇が日常化』 この目次ページに書いてあることが今まさに起こっている問題そのもの。 「状況が変われば鈴の意味も変わる」 人間が居るから避けとこ〜から、ここに餌がありますよ〜の意味に変わるのは気付いていたけど恐怖。 クマの糞は「多様な動植物の糧であり、この森の明日」という最後の締めの言葉にグッときた。 出会えば怖い動物No. 1なのは変わらないにしても、森でひっそり暮らしているはずのクマがなぜ人里に出てきて、木の実や草花を食べるはずのクマが人間を食べるのか。それを小池さんの研究を通して深く考えさせられた。森にいる動植物は死んでも森の一部になって自然を豊かにしてくれる。一方で人間は?森を奪い、管理もろくにしない(藪や食糧や燃料等)、死んでも自然に還らない。クマ側からしたら一番害なのは人間なんだろうなぁなんて思ったり。もちろん人を襲うことは許される事ではないけれど。 この本をきっかけにクマの研究や植物の研究に興味が出る人も多そう。それくらい小池さんのユーモアと研究の成果が面白く書かれていた。 「クマに興味を持ってくれたら大成功」と書かれていたけど、まんまとハマったヤツがここに居るので、小池作戦は大成功。 - 2025年11月5日
受験生は謎解きに向かないホリー・ジャクソン,服部京子借りてきた読み終わった文庫本ピップシリーズ「自由研究には向かない殺人」の前日譚。 “高校生のピップに友人宅で架空の殺人の犯人当てゲームの招待状が届く。舞台は1924年、孤島に建つ大富豪の館という設定で、参加者は同級生とその兄の7人。当初は乗り気ではなかったピップだが、次第にゲームにのめり込んでいき…” 登場人物達が役になりきって、役名で話が進んでいくから人物把握に苦戦はしたものの、1作目しか読んでいない私でもしっかり楽しめる1冊だった。 ・登場人物達の名前と役名が全然頭に入らず。この友人達はのちの作品にも登場するらしいので覚えておきたいけど…自信がない。 ・ピップの謎解きに感心させられた。相変わらず鋭い目線。ゲームを考えた人も凄いけど、なにより作者さんが凄い。作中には1作目を読んだからこそ分かる意味深な場面があったりとワクワクが止まらないだけじゃなく、2・3作への期待値も爆上がりになる作品だった。また、物語の長さもちょうどいい。 - 2025年10月28日
羊と鋼の森宮下奈都借りてきた読み終わった単行本調律師のお話🎹 どの世界も極めようと思うと奥の深さに挫けそうになったり迷う時もあると思う。それを『森』に例えるなんて、なんて素敵なんだろう。 この作者さんの描く物語は表現が凄く綺麗で読んでいて胸がときめく。 作中に登場する原民喜の一節、私も好きになった。 【「こつこつと守って、こつこつとヒット・エンド・ランです」 「ホームランを狙ってはだめなんです」】(P.16) ピアノに触れてこなかったから調律師という仕事もちゃんとは知らなかったし、こんなにピアノ自体が奥の深い物だとは思わなかった。 先輩の仕事を見て技術を盗んだり、お店のピアノで練習したり、ピアノに沢山触れることでこつこつ地道に極めていくしかない。ホームランを狙おうとすると調律が乱れてしまう。とても難しい世界なんだと知った。 【「祖母が作ってくれたミルク紅茶。小鍋で煮出した紅茶にミルクを足すと、大雨の後の濁った川みたいな色になる。鍋の底に魚を隠していそうな、あたたかいミルク紅茶。」】(P.19) 本当にこの作者さんは別のものを自然のものへ例えるのが上手すぎる!普通、大雨の後の濁った川なんか飲みたいと思わないのに、ここでその表現が登場しても嫌な感じがしないどころか温かみを感じるのがとても不思議。でもイメージが湧きやすくて、この作者さんの表現が本当に好き。 【「俺の見てる景色とは違うものが見えてるんだろうな」】(P.33) 山育ちの外村(とむら)は山に咲く花ならなんでも知っている。それが当たり前の外村に対して言った先輩の柳さんの言葉。同じ景色でも知識の違いで見えてるものが違うってやっぱり人それぞれの感性とかもあるだろうけど、育った環境が大きいと思う。外村の感性が結構すきだなぁと思ったのと同時に、ピュアな外村に不安にもなった。 【「明るく静かに澄んで懐かしい文体、少しは甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛(たた)えている文体、夢のように美しいが現実のようにたしかな文体」 「原民喜(はらたみき)が、こんな文体に憧れている、と書いていたのですが、しびれました。私の理想とする音をそのまま表してくれていると感じました」】(P.57) 文体に限らず、他の物に置き換えて考えてみると確かに深い言葉だなぁと。 【朝早く、森を歩いた。〜エゾマツの鳴らす音を、僕は知っている。だから懐かしいのか。だから魅かれたのか。】(P.154) 本当に自然の表現が綺麗!!!季節感や自然を感じ取りやすい文が凄く好きな私にとってここの場面は胸がときめいた。 【こどもだなんて言われたのも、生まれて初めてだった。〜なんだか気持ちが軽くなった。そうか、こどもか。わがままか。】(P.171) ここから外村の自我の芽生えというか、ここから始まったって感じがして良かった。 【わがままを究めればいい。】(P.172) わがままになれるくらい、自分があって、主張したいことがあるって素敵なことだと思う。今までの外村はそれを見つけられずにぼんやりと生きていたんだなと思うと、ここで目指すべき道が見つかって良かったね😭と謎の親目線発動で感動。 【調律師になる。間違いなくそれもピアノの森のひとつの歩き方だろう。ピアニストと調律師は、きっと同じ森を歩いている。森の中の、別々の道を。】(P.183) 森🌳この表現が掴めそうで掴めない。なんとなくは分かるんだけど、明確に言葉で言い表せない悔しさ。私の語彙力、頑張れ。 表現が素敵なところがありすぎて書き出せないくらい本当に素敵な言葉の詰め合わせだったこちらの作品。 気持ちがわなわなする感じとか言葉で言い表せないような感情をすんなりと書いてあって、読みつつ気持ちの共感が止まらなかった。 宮下奈都さん、好きな作家さんの1人になりました。 - 2025年10月16日
Nの逸脱からんころん,夏木志朋読み終わったデジ図書電子書籍普通じゃない、“逸脱”した人達のお話全3話。 どんでん返し?イヤミス? とにかくどのお話もスッキリしない。複雑な読了感。 でも先の読めない展開に引き込まれていく。 各物語の序盤から『何があった?』と思わせる作りにまんまとハマり、読む手が止まらなくなった。 暴力的な表現が多いからほんわか系が好きな方には向かないだろうけど、個人的には結構好きなジャンルだった。 🦎場違いな客 爬虫類専門店で働く篤。ある噂話をオーナーから聞いた時のことを思い出していた。 『もし、場違いな客がそれを買って行ったら、そいつはー』 序盤の序盤から物語へグッと引き込ませる文に先の展開が凄く気になって、どんどん読めちゃう。ペットショップでの出来事やその後に待ち受ける出来事、そして衝撃のラストに呆然。 👠スタンドプレイ 高校教師の智子は人気のない住宅街でタクシーを捕まえて乗り込んだ。座席の下で、破れたストッキングの足裏とハイヒールのインソールの間に挟まった砂利をひそかに払い落とし、不安を抱えながら運転手と会話する。黒いロングコートを着て、ハイヒールを履いた、背の高い痩せたマスク姿の女…まるで怪人のような自分は警察へ通報されるのだろうか… こちらもやはり序盤から展開が面白い。どうしたらその場面へ繋がるのか全く分からなくてワクワクしながら読んだ。 小学生の智子が書いた作文に「アルジャーノンに花束を」の小説を読んだ話があって『小説の中で別の小説が出てくるのって面白いよなぁ』とか思いながら読んでたら、後々その場面が重要になってきて、印象の残し方が凄いなと感心。(私だけかも) 物語の中盤「それがすべての始まりだった」の一文を見て、『え!?ここからが!?もう既に色々始まってたけど!?』となり、更に物語に入り込んだ🥹 ー私はきっと、逸脱したかったのだと思います。 ここでタイトルを回収できた様な気がして、“逸脱”の意味を深く考えさせられる。(Nの意味は分からない。) 🔮占い師B 中年オバハン出張占い師、坂東イリス。そして客として現れた一見有能知的で真面目そうな見た目の秋津。坂東は会話をしてみて気付く彼女の印象を心の中で口にした。『こいつ、見た目に反してバカである。』 もう面白い。この時点で面白い。秋津がとにかく面白い。坂東と秋津の掛け合いがテンポ良く進んでいくのでどんどん読める。途中「人の未来と過去が見えるのです」とカミングアウトする秋津。こちらもその先どんな話になって行くのか全く想像がつかない中で読み進め、終盤になってとんでもない展開になった時には『ひぇ〜』と若干引くくらいの衝撃さ。3作中、このお話が1番印象深いのもきっとその場面のせい。 緩急のかなり強い作品だったけど最後の最後には伏線回収も少しあって、登場人物たちの繋がりを楽しめもした。 そして何より坂東が1番好きだというタロットの〈吊るされた男〉のカード。これがいい味出してる。
読み込み中...