
あむ
@Petrichor
2025年11月6日

リカーシブル
米澤穂信
読み終わった
本当に恐いのは人間、とはよく言ったものだ。
この物語は恐い、でも私はもう一度読みたい。
晴れやかな気持ちで、だ。
以下ネタバレ含みます
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ずっと、ずっとザワザワしていた。
そのざらつきはハルカも絶対にはじめから感じていたはず。
しかし終盤に至るまで、様々なヒントは散りばめられていたにも関わらず、ハルカは何も疑おうとしなかった。
ママを、リンカを、町を、信じていた。
人を疑うことにすっかり侵食されてしまった私からすれば、そんなハルカの姿にはときに苛立ちすらも覚えた。
絶対におかしいのに、なぜおかしいと思おうとしないのか。
私はそれをずっとハルカがまだ中学一年生で幼いからという理由で片付けていたが、その理由すらも終盤で納得させてくる技術は流石としか言いようがない。
狂信は時に法となり悪を正当化する。
1回目はそのじわじわ迫り来る恐怖を楽しんだのだから、2回目は作られた世界の違和感をひとつひとつ辿って身を震わそうと思う。
