
うゆ
@otameshi_830
2025年11月7日

失われた手稿譜
フェデリーコ・マリア・サルデッリ,
栗原俊秀,
関口英子
読み終わった
そういう結末…時代を考えればそうなるか…。ヴィヴァルディの手稿譜が「主人公」(登場人物紹介の頁にもちゃんと載っているのが粋!もちろん手稿譜が喋ったりはしないけど)の18世紀の出来事と手稿譜が発見されその後の顛末を描く20世紀の出来事を交互に語る構成によりミステリ仕立ての映画のようなエンターテインメントとして愉しめる…のがラストの「六つのエピローグ」により少し風合いが変わる。ファシズムやユダヤ人排斥運動によりおちる影。これは過去にあった物語だけれど今現在これから先の未来の話でもあると思わせる。様々な人々の様々な思惑に翻弄されつつ生き延びてきた文化遺産。「正しきものはとこしえに記憶される」とはいえ、埋もれたり破壊され消滅した数多の遺物のなか、遺ったものは奇跡であり、そこにはこうした表には出ない人々の営みや思いが必ずあった。
ヴィヴァルディを聴こう。

