Anna福 "ウォンミドンの人々" 2025年11月8日

Anna福
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@reads--250309
2025年11月8日
ウォンミドンの人々
すごく好きな作品。 1980年代、ソウルオリンピックを目前に控えた時代。ソウル近郊、プチョン市ウォンミドンという町に暮らす人々を描いた連作短編集。第一話、ソウルからこの町へと引っ越してくる一家、いわゆる“都落ち”であり、既に不動産階級社会が見える。その引っ越し描写は読者の芯まで冷え込ませるほどだ。 長屋、地下室、そして恐らく光州事件によって心に傷を負ったサラリーマンが分け入るウォンミ山。 俯きながら足掻きながら、それでも生きていく市井の人々の姿。 韓国ドラマにありがちな豪邸も御曹司も登場しない。ここにあるのは、リアルで精緻、みっしりとした描写によって立ち上がる、静かで重たい生活の断面だ。 同時代のソウルの若者達の青春ドラマ『応答せよ、1988』との明るさのコントラスト。 初読みは図書館本だが、気になりすぎて購入、たまに再読。
ウォンミドンの人々
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