
ami
@aoi_umi___
2025年11月9日
ちょうちんそで
江國香織
読み終わった
かつて読んだ
p87
ブラウスは袖がふくらんでおり(ちょうちんそで、と母親は呼んでいた)、
p135
雛子はいったん言葉を切って、ワインを喉に滑り込ませた。自分が次に口にする言葉から、すこしでも身を守りたかった。
p143
正直は、腕に抱いた娘の重みと体温を味わう。これを捨てることが、あの女にはなぜできたのだろう。もう疾うに考えるのをやめたはずの疑問が、また甦ってしまった。
p180
雛子が話題を変えたのは、何か、なつかしくない話をする必要があると感じたからだ。そうしないと、いまいる場所に、戻ってこられなくなりそうでおさろしかった。あるいは、戻ってしまうことがおそろしかったのかもしれない。だから急いで戻った。
最初からここにいたふりが、できるうちに。
p214
「雪!」
架空の妹が言い、言うが早いか窓をあけた。
「ひなちゃん来て。早く早く」
窓枠につかまり、上半身をすっかりおもてにだして、片足立ちになっている。雛子が近づくと一歩だけ横にずれ、場所をあけてくれた。
「ほんと。きれいね」
降るというより、夜のなかを風に運ばれてくるその白いかけらは、ひどく頼りないものに見えた。
p221-解説
つらい過去はふりきってしまった方が楽だと、ついすべての苦い経験は忘却の彼方に追いやられてしまいがちだが、過去ととことん共存することで、今をやわらかく大事に生きられるのかもしれない。本書を読んだときまず初めにそんな感情を抱き、過去は全て美しい、というやや乱暴な言葉も思い出した。
p222(過去に読んだときに残した線)
人の気持ちは目に見えないし、自分が好きでも相手がどのくらい自分を好きでいるかは、一生わからない。

