Reads
Reads - 読書のSNS&記録アプリ
詳しく見る
ami
ami
@aoi_umi___
江國香織さんが好き 本を読む時間を昔みたいに過ごしたい
  • 2025年12月21日
    物語のなかとそと
    p24 秘密。 ほんとうのそれは、夜中に闇のなかでするお手玉に似ています。誰かに知られても、見られてもちっともかまわないのに、ほかの人にはなかなか見えない。
  • 2025年11月9日
    ちょうちんそで
    p87 ブラウスは袖がふくらんでおり(ちょうちんそで、と母親は呼んでいた)、 p135 雛子はいったん言葉を切って、ワインを喉に滑り込ませた。自分が次に口にする言葉から、すこしでも身を守りたかった。 p143 正直は、腕に抱いた娘の重みと体温を味わう。これを捨てることが、あの女にはなぜできたのだろう。もう疾うに考えるのをやめたはずの疑問が、また甦ってしまった。 p180 雛子が話題を変えたのは、何か、なつかしくない話をする必要があると感じたからだ。そうしないと、いまいる場所に、戻ってこられなくなりそうでおさろしかった。あるいは、戻ってしまうことがおそろしかったのかもしれない。だから急いで戻った。 最初からここにいたふりが、できるうちに。 p214 「雪!」 架空の妹が言い、言うが早いか窓をあけた。 「ひなちゃん来て。早く早く」 窓枠につかまり、上半身をすっかりおもてにだして、片足立ちになっている。雛子が近づくと一歩だけ横にずれ、場所をあけてくれた。 「ほんと。きれいね」 降るというより、夜のなかを風に運ばれてくるその白いかけらは、ひどく頼りないものに見えた。 p221-解説 つらい過去はふりきってしまった方が楽だと、ついすべての苦い経験は忘却の彼方に追いやられてしまいがちだが、過去ととことん共存することで、今をやわらかく大事に生きられるのかもしれない。本書を読んだときまず初めにそんな感情を抱き、過去は全て美しい、というやや乱暴な言葉も思い出した。 p222(過去に読んだときに残した線) 人の気持ちは目に見えないし、自分が好きでも相手がどのくらい自分を好きでいるかは、一生わからない。
  • 2025年9月24日
    神様のボート
    神様のボート
    p52 物は、持つより捨てる方がずっと楽だ。 ーそれはつまり、生活に責任を持ちたくないということかな。 桃井先生に、ときどきそんな風に問い詰められた。 ーいつまでもふわふわしていたいということかい? たしかに、何かを所有することで、ひとは地上に一つずつ縛りつけられる。 p85 ーずいぶん遠くまでいってたんだね。 私は泣きたかった。いっぺんに気持ちがあふれてどうしようもなかった。ずっと一人だった。トッポジージョにはなれなかった。自分は不幸だと思ったことはなかったが、でも、つまらなかった。生きていてもよくわからなかった。どうすればいいのか、どうしてもった生きていかなくちゃいけないのか。あの人に会うまでは。 p107 「いい匂い」 遠くの空をみながらあたしは言った。 「何の匂い?」 ママはフレアスカートの裾をひるがえしながら歩く。はだしのくるぶし、赤いサンダル。 「夕方の匂い」 不思議なことになって、夏の夕方の匂いはどの町でもおんなじだ。 p147 ー記憶に残ってしまう匂いね、花火のけむりは。 ろうそくに火をつけようと苦心している桃井先生の横顔をおもいだしながら、私は草子にそう言った。 p230 ピアノを弾くママの横顔は、透明で強くてとてもきれいだと思う。 p274 死は、やすらかなものとしてここにある。いつでも。 ジン・トニックをのみながら、私は毎晩それについて考える。 ーいつか俺たちが死んだら、水になるね。 骨ごと溶けるような、私の体とあのひとの体のあいだに皮膚なんて存在しないみたいな烈しくすばらしいセックスのあと、あのひとはよくそう言った。 ーこうやって抱きあったまま、水になって流れていく。 ー川みたいに? ーそう。川みたいに。 ー抱きあったまま? ーそう。絶対に離れない。 手も足もからめたまま、川みたいに。 それは、とても単純なことに思えた。とても単純でとても正しい、この上なく安心なことに思えた。 いつか私たちが死んだらー。 グラスの中のジン・トニックは、ひかえめな明かりの中で、夜の川のようにみえる。 森の奥を流れる清冽な川。 いつか私たちが死んだらー。 p278 海に出るつもりじゎなかった。 これはアーサー・ランサムの小説のタイトルですが、人生にはそういうことがときどきあって、「彼女」の人生もたぶんそんなふうにして、それまでの生活から切り離されてしまったのだろうと思います。 海に出るつもりじゃなかった。 誰かを好きになると、いつもそうです。 小さな、しずかな物語ですが、これは狂気の物語です。そして、いままでに私の書いたもののうち、いちばん危険な小説だと思っています。
  • 2025年3月5日
    落下する夕方
    落下する夕方
    いつまでも大切な本
読み込み中...
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved