
傘
@umbrella__um
2025年11月8日

冬姫
葉室麟
読み終わった
夢中になって読み終えた。
冬姫は父である信長の死や、秀吉と勝家の対立、豊臣と徳川の対立など、世の中の激しい移り変わりに巻き込まれ、さらに他家や身内の姫からの嫉妬に翻弄されるなど、激動の人生を送る。しかし戦国時代を生きる姫としてはかなり恵まれた環境で人生を送っていたように思う。
それは、信長という圧倒的な後ろ盾と氏郷や姑との良好な関係性によるものだと思うが、それだけではなく、自身が“信長の娘である”という確固たる誇りと、“蒲生家に生き、蒲生家を守り抜く”という決意がそうさせたのだとも思う。
個人的には、生涯側室を置かなかったという氏郷と冬姫の、穏やかでありながらも互いを大切に想い合う強い信頼関係が良かった。
冬姫を取り巻く姫たちは冬姫に嫉妬の念を向け、陥れようと作略を巡らせていたが、冬姫はひたすら自分の家族を守ることに徹していた。人を陥れることで自らの家と地位を守るということをしなかったことが、冬姫を気高く在らせたのだと思った。