糸太
@itota-tboyt5
2025年11月10日
柳宗悦 無地の美学
佐々風太
読み終わった
柳宗悦の美について語られるとき、浄土真宗の「他力」がよく取り上げられる。たとえば、自らのはからいを超えた他力に委ねた造形にこそ美は宿る、といった具合に。
そのたびに、じゃあその造形を美しいと感じる心からは、はからいをどう排除できるのか、というのがいつも疑問だった。
本書の第四章では、「見る」-「見られる」の構造として、これと似た問題に触れられている。自分の中の疑問が氷解したわけではないが、考えるヒントをたくさんもらえた気がしている。
さらに、もっと対等に美と付き合いたいなと普段から思っている私にとって、第五章から終章にかけては、すこしの希望も感じられた。
「私たちは、知らず知らずのうちに無地の美をーあるいは無地的なる言動をー生んでいる可能性があるということを、柳の無地論は示唆する」なんて、とても心強く響いた。
