
禁帯
@kintai
2025年11月11日
ソフィー
ガイ・バート,
黒原敏行
読み終わった
再読。
留守がちな父親、埃っぽい客間に閉じこもったまま子供の世話をしようとしない母親。七歳の聡明な少女ソフィーは五歳のマシューとともに二人だけの楽園を創って生きることにした。大好きな題材である楽園崩壊ものなのだが、楽園を自ら去った者、崩壊した楽園にいつまでも囚われ続けている者の構図でもある。我々は幼年期の追憶と幼年期が終わった果てのダイアローグを垣間見ることによって過去と現在とを行き来し、楽園崩壊への真相を探っていく。文章に無駄は一切なく、全文するすると滑るように読めてしまうが、ラストを飾る第十五章で妙に引っ掛かりを感じる。この部分はほんの数ページにしか満たないのだがこの部分があるためになぜ?なぜ?の連続である。今まで体感してきたことはなんだったの?とこの本の存在すら幻のように思えてしてしまう。
