
きらた
@kirata
2024年8月12日
緋色の記憶〔新版〕
トマス・H・クック,
鴻巣友季子
読み終わった
1997年度アメリカ探偵作家クラブ最優秀長編賞受賞作(2023年発行のハヤカワ文庫の[新版])
あの夏の午後の女性教師の来訪が、平穏だった村に静かな水面に石を落としたかの様な波紋をもたらした
老弁護士の回想と公判記録で語られる、あの事件思い出と事件が引き起こした悲劇とは
個人的には「ミステリとはちょっと違うかなぁ?」と感じますが、ではミステリじゃないのかと問われると「ミステリではあるんだよねぇ」となる
提示された謎を解くぞ!と張り切るタイプではなく、描かれた世界に浸りながら、目線を同じくしてその先を追っていく形のもの、とでも言うのか
風景や心情、空気感までをも緻密に描いた作品で、最初こそ戸惑うが、次第に作品に惹き込まれていく
あの村で何が起きたのか
どんな悲劇が、結末が訪れたのか
そして極めつけは奥底から浮かび上がる記憶
ゆっくりと鮮やかに浮かび上がる記憶は、空気すら感じる緻密さで、話が進むにつれて息苦しさを覚える程
ふんわりと匂わしたり断言をしなかったりで、もやっとする要素はあるのだが、それが強い余韻となっていつまでもあとを引く
読み応えと没入感に優れた作品でした