rkm @ All you need is 💙 "わたしの体に呪いをかけるな" 2025年11月15日

わたしの体に呪いをかけるな
わたしの体に呪いをかけるな
リンディ・ウェスト,
金井真弓
表紙は著者に「ネットハラスメントをしてきた人々が彼女を悪魔化して頭に描いていたイメージ」の絵であると読者に伝わるといいなとは思います。 著者は実際外見も中身もすごく知性があふれるチャーミングな方だし、弱者に優しいし、ユーモアもあるし、そもそも原書の表紙とイメージが違う。それにとても冷静にかつ理路整然と主張を述べているし、そして実はハラスメントをしてきた人たちに対しても少なくとも理解しようとする、私ならとてもできないだろうと思うほど眼差しは優しい。 彼女が言わんとするところは「自分はユーモアのある知的で愛嬌のあるという長所をもった魅力ある人間であり、だから自分は今の自分で満足している。その一方でほかの誰とも同じように不当で酷い扱いを受ければ傷つく人間である」ということだと思うんですね。どうも、これがよいとする社会通念に外れてる人、特にそういう女性が自分自身のあり方に満足して、しかもそれを隠さないと気にくわない人たちが世の中には多い(男性なんだろうけど女性にもそういう人たち多いと私は思う)…それに対する反論が本書のテーマの一つです。 そして誰もが長所も、そして欠点や弱さをもっているけれど、やはり生まれや社会通念のおかげで不利にならず優遇されている人とそうでない人がいる社会なのだから、冗談にしてももっと社会をよくする方向へのユーモアを持ちませんか?という本だと私は思いました。 もちろん、だからこそ女性蔑視、笑えないような性暴力を茶化すような不当なことには黙らないという姿勢を貫いていて、それも本書の主題の一つですが、その論拠もすごく冷静な印象を受けました。表紙を批判するような感想で申し訳ありませんが、私が編集者なら違うようにしたかもと思いました。
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