
碧衣
@aoi-honmimi
2025年11月20日

ラッシュライフ
伊坂幸太郎
読み終わった
仙台で連続ピッキング窃盗やバラバラ殺人事件が起きている中、金で買えないものはないと自負する男は連れの若い女にある賭けを持ちかける。
その間、律儀な泥棒は謎の文字と数字が書かれた紙を拾い、青年は「神」の解体を目撃する。ある女は不倫相手の妻を殺害する計画を実行に移そうとし、リストラに遭った中年男は老いた犬と街を彷徨う。
ページを開いたらまさかの二段組みに全私が驚愕。
久しぶりに伊坂作品を読んだけどやっぱりおもしろい。
要所に散りばめられていく伏線を回収していくのも、登場人物たちの行く末を見ていくのも楽しい。
人物の描写が上手いから嫌な人物がしっぺ返しにあったり、情けない人物が立ち向かったり、意図せぬ勝利を掴む描写にはカタルシスを感じられる。
その中に黒澤のような人物や「神」のような存在が同居しているのがまたおもしろい。
山賊に殺される旅行客から見えてくる正しさの角度、内臓と神に対して出来るのは声に耳を傾け、最善を尽くし、祈ることしか出来ないこと、人がいつも無造作に潰している蚊と神はそんなに変わらないのかもしれないなど伊坂さんの神についての考えは興味深い。
すべてが終わりながらも絶妙に後を引く幕引きに登場人物たちのその後を想像したりする。

