
徒然
@La_Souffrance
1900年1月1日

アサイラム・ピース (ちくま文庫)
アンナ・カヴァン
読み終わった
めっちゃ良い。こんなに刺さると思わなかった。
タイトルにもなっているアサイラム・ピースは微小妄想などの鬱症状が描かれ、それよりも前に並んでいる短編は、統合失調症の妄想や幻覚みたいだった。
そう思いながら読んだせいか、フィクションではなくエッセイを読んでいる気分だった。訳者あとがきに“フィクショナライズされた人物の生"と書いてあって、まさしくこれだと思った。感覚を捉える言葉が鋭く、作者の苦しみが私にも襲ってきて泣きそうだった。
「不満の表明」「いまひとつの失敗」「召喚」「夜に」「不愉快な警告」が特に好き。
"「私がどうすべきか、なぜ教えてくれないんです?」 面談の最後に私は憤然としてたずねた。「どうして、具体的な行動の指針を示して、私をこの苦しみから、不確実な状況から救ってくれないんですか」
「それこそまさに私があえてするまいと思っていることです」とDは言った。「最大の問題点は、あなたが常に責任を回避しているところにある。これは、あなたが、あなた自身のイニシアティヴのもとに行動しなければならない問題なんです。 不親切に思えたら申しわけないが、しかし、これだけは本気で受け止めてもらわねばなりません。私であれ、ほかの誰であれ、外からのアドバイスに盲目的に従うのではなく、自分自身でこの事態の全容をしっかり見極めることこそが、長い目で見れば、あなたにとってはるかによい結果をもたらすはずだということを━━」"

