
gato
@wonderword
2025年11月24日
天使の蝶
プリーモ・レーヴィ,
関口英子
読み終わった
面白くて一気に読んでしまった。
ブラックユーモアたっぷりに科学発展の功罪を扱った幻想SF集で、図らずも最近読んだベンハミン・ラバトゥッツの『恐るべき緑』と通じるところもある。
chatGPTでしかない〈詩歌作成機〉、原子レベルで複製を作れる3Dコピー機〈ミメーシス〉、他人の思考と感情まで体感できるVR装置〈トレック〉などなどを平然と売りつけてくる謎のセールスマン、シンプソン氏のシリーズが楽しい。車にしか移らない感染病をきっかけに、車にも雌雄があると判明し、それが事故の発生に影響しているとつらつら語る与太話「猛盛苔」も面白かったなぁ。
2025年の我々からするとハッとするほど正確に未来を予知したガジェットがでてきたりするが、どの話もコント的なオチがつくので、フレドリック・ブラウンやアシモフみたいに懐かしい読み味がなんだかちょうどよかった。


