こまたろう "パワー (河出文庫)" 2025年11月24日

こまたろう
こまたろう
@yukioino
2025年11月24日
パワー (河出文庫)
パワー (河出文庫)
ナオミ・オルダーマン,
安原和見
男女のパワーバランスが逆転した世界を描くディストピアSF。 「実際、男性は何人ぐらい必要なのか。考えてもみよう。男は危険だ。犯罪の大半は男が起こしている。男は知的に劣り、勤勉でもなくまじめでもない。男は筋肉とペニスでものを考える。男のほうが病気にかかりやすく、国の資源を食いつぶしている。」 この物語の女は強い。男たちは狩られ、レイプされ、戯れに殺される。外出には「保護者」の女性の承認が必要である。たいへんグロテスクだ。だが、それが現代の女性が直面するリアルでもある。思慮や想像力ではなく「他を圧し支配する力」が社会の天秤を司るかぎり、暴力に満ちたこの物語が投げかける影から逃れることはできないだろう。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved