
Sanae
@sanaemizushima
2025年12月3日
消された作家カイ・フン
田中あき
読み終わった
専門的で読むのにちょっと難しいかなと思っていたけど、作家の生きたベトナム独立前後の社会のことも織り交ぜられ書かれており、夢中で読んだ。ベトナムの作家、カイ・フンについて。
植民地下のベトナムでフランス式の教育を受け、中国の漢詩に親しみ、そして彼の母国ベトナムの文化の素養がある作家。そして何より、不安定な時代のなかで彼自身は政治的イデオロギーを訴えたわけではないが巻き込まれてしまう。
著書は国民党による検閲を受け、最終的にベトミンに殺害されてしまう。どちらの陣営からも干渉があり、これだけでもベトナムの複雑な歴史を感じる。
ベトナム文学の優れた作家でありながら焚書や検閲によって残った資料があまりに少なく、今でもベトナムでは歓迎される作家ではない。そのためこの作家についての研究はほとんど進んでいないそうだ。
それをサイードやファノン、さまざまな世界の思想家を参照しながら、検閲により読めない穴の多い著書や少ない資料をもとに作家の研究をしている日本人がいることが誇らしい。
あとがきより
「カイ・フンの言論を考察することは、ベトナム現代史において『絶対とされてきたもの』を相対化し、それを揺るがす行為だからである。あるいはそれは、歴史の隙間に墓碑名もないまま打ち捨てられた記憶について語り始める行為だからである。」
時代は変わっていく。
また今後の予定されている研究も楽しみ。



